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リハビリ記録その150

2015-5-1
山内正敏

 5月1日は本来なら初夏第1日として欧州では野外を楽しむ日(メーデーのデモもその延長)ですが、キルナでは雪の降ることも多く、特に今年は昨晩からの降り続く大雪で銀世界となっています。

 前回書きましたが、4月は1週間のウイーン出張(学会)に続けて、そのままプロジェクト・インタビューの為に5日連続飛行機で移動するという、病気前でもあなりなかった強行軍を強いられました。
 ギランバレーにかかった原因の一つが体調の悪い時に4日連続で移動を繰り返したことが原因だったので、よほどウイーン出張をとりやめて、後半のプロジェクト・インタビューと、その前段階のレポートの作製(わずか5日間で、論文よりも説得力の高い資料・文書を準備しなければならなかった)に専念することも考えたのですが、ウイーンでプロジェクトの他のメンバーに会えることと、昨年気に入ったホテルに6連泊するので、最悪ホテルに引き籠れば体力の消耗が少ないだろうと思い(移動やホテル住まいよりも、昼間、他人に合わせて行動することで疲れるから)、なんとか足掛け12日の出張を無事に終えております。
 もっとも、それでも出張中に一度体調を崩しています。それは出発直後の2日目日曜日(ウイーン入りした日)で、その日は高熱でチェックン後ずっと寝ており、月曜も午前中寝て(それでも1時間上限で時々パソコンに向かっていた)、マトモに歩けるぐらいに回復したのは水曜午後でした。そのため、会場への2キロ半の道は、昨年は朝晩共に歩いて通ったのを、今回は地下鉄を使っております。
 火曜以降も、一日の半分はホテルでインタビューの準備をして、学会会場でも大抵はインタビュー関係の会合をしており、結局、自分の発表(4件)をした他は、私が世話人をしている福島・チェルノブイリのセッション以外で聞いた講演は4件だけです。このくらい思い切って学会を無視したのが功を奏して、なんとか体調を決定的に崩さずに済みました。その意味ではベッドの横にパソコンがおけるホテルは自宅よりも良い休養環境かもしれません。
 ちなみに、このパソコンですが、出張にパソコンを持参したのは今回が初めてです(昨年は初めてipad miniを使った)。今までパソコン無しで済ませて来た話をすると誰もが驚くのですが、パソコンを持ち運ばない効用は大きく、例えばそのお陰で講演を聴くことに専念できるし、荷物の心配も要らず、今後はまたパソコン無しに戻る予定です。
 あと、1泊だけながらも一旦自宅に戻ったのは結果的に好判断で、それだけでかなり疲れが取れました。他人に日程を言うと、大抵は「そりゃ帰らずにストックホルム連泊の方が疲れないだろう」と言うのですが、やっぱり他人の意見は所詮熟慮からほど遠く、私の体調とか本当に分かっておらず、あまり参考にはならないようです(それでも蒸し返す人がいるのは辟易する)。日程を決められるのは自分だけだという、一番大切な基本を今回は痛感しました。
 もうひとつ良かったのが、インタビュー先のESTEC(欧州宇宙研究・宇宙技術センター)までアムステルダム空港からずっと身障者の使いやすい街作りとなっていて、ホテルも快適だったことです。お陰で、旅行そのものによる無理感が全然ありませんでした。さすがに自転車先進国(=車輪に対するバリアフリー)の平地だらけの国です。今までの出張先の中では一番楽な街でした。 そういえば、ウイーンも地下鉄の身障者相応が以前より良くなっていて、その新型車両は、ドアが開くと同時に車体からホームへ鉄の簡易橋が渡されるようになっていて、歩行器や乳母車、車椅子などを押したまま昇降できるいます。これは是非とも他の国にも導入してもらいたい技術です。

 そんな具合で、なんとか体調を維持してインタビューに望み、かつ帰宅後も風邪とか引いていないのですが、その分、訓練が完全にストップしたので、今でもプール訓練などで脚力が2年前ぐらいのレベルに落ちているのを感じます。やはり強行軍の出張はルハビリの敵です。まあ、こんなことは今後はあまりないはずなのでで(もしもプロジェクトの選考で落ちたら、4年後の機会に再挑戦することになりますが、その際は季節が違うので、今回みたいに他の予定とは重ならないと思う)、今回だけは例外と言うことで諦めます。
 ちなみに介護ですが、ウイーンへは普段の介護を連れて行ったものの、その後の出張はストックホルムに住んでいる元介護(今、体育の先生になる教育課程の4年目)にストックホルムから加わってもらいました。欧州の労働基準法に相当する法律では、出張の場合ですら連続足掛け11日を超えて仕事ができないので、別の介護をアレンジする必要があったのです。
 同じ理由で、日本出張も日本滞在10泊(最終日は空港近くだけど)が限界となります。一昨年までは日本で現地介護を雇っても良かったのですが、ルールが変わってEU永住者以外が介護を出来なくなってしまったからです。まあ、ポケットマニーで途中連続2日間だけ雇うことは可能なので(航空運賃よりははるかに安い)、絶対的な上限ではありませんが。
 介護と言えば、昨年の夏介護が夏休みに別の仕事(100%)を見つけて、またも別の介護をアレンジすることになりました。一応は7月に18歳になる高校生を予約できているのですが、普段の介護が休暇に入る6月末かた7月頭までの10日余りの期間だけまだ決まっていません。
 さて、出張で病気(介護を含む)以外に怖いのは歩行器や尿管のトラブルですが、尿管(カテーテル)の方はあわや出張に影響が出たかも知れないというタイミングで問題を起こしています。出張から4日後、尿管に穴が開いて漏れ始めたのです。穴の開いた直ぐ下を専用クリップで止めて、(日曜だったので)救急に行って尿管を入れ替えましたが、これが出張中だったら大変でした。1年半前のトロムソ出張の際も、出張の朝に尿管を内側から支える風船が割れて尿管が抜け、慌てて救急に向かいましたが、その時と同様にひやりとしました。過去5年以内のトラブルはそれだけで、狙ったように(年に2〜3回しかない)旅行前後となっています。
 どうも2年前に尿管の製造元が代わって以来、質が落ちたみたいで、現時点での不具合率は1割を超えています。医療関係の製品も他の工業製品と同じく、丈夫さと言う意味の信頼性が昔より落ちている気がします。世界的な経費節約の流れの行き着く先なのかも知れません。

 最後に例によって無駄話です。
 アムステルダム空港で時間があったので、店の多い一階を歩き回ったのですが、なんとコンビニのような小型スーパーがあって、そこで寿司の実演販売をして、ついでに日本のビールを売っていました。こっちのビールに比べて極端に高い値段でもなく、飲もうかとも思いましたが、日本のビールは日本に帰国の際の楽しみに取っておこうと思って、結局手を出しておりません。
 あと、インタビュー先に近い街(ライデン)のホテルの横の安価品スーパーに日本のスナック菓子(豆菓子とか人形焼きとかの現地販売)が一袋1ユーロで売っておりました。なんだか、無印良品とかコンビニスナックの100円洋菓子のオランダ製日本菓子版を見た気分です。味もまずまずで、そのうちスウェーデンにも上陸するのでは期待しています(そうなると日本に帰るメリットがますます減っていく気がしますが)。

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