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リハビリ記録その142

2014-8-31
山内正敏

 キルナは2〜3日前からは秋の空気を漂わせる晴天となり、秋恒例の茸があちこちに生えています。それまでは7月中旬の猛暑の反動でずっと雨(特に雷雨)が多く、さすがに短パンでの日光浴という訳にはいきませんでした。それでも暖かい日は多く、最終的に十分なトレーニングの出来た夏でしたが。

 それにしても良く歩いています。前回のレポートからの5週間で、17kmが2回、12-14kmが3回、他8km以上が8回で、他に足首固定器を外しての1.8km以上の歩行が10回、松葉杖での1.8km以上の歩行が8回です。歩行器、松葉杖ともに記録を更新していますが、特筆すべきことをあげると
* アパートからアイスホテルまでの16kmを3時間丁度(手すりの角度=下記の問題で手首が痛くなったが、それでも5年前より20分早い)。
* 初参加の12kmのレース(国道工事で自転車道が閉鎖になって、その分砂利道が4ヶ所増え、約6分のロス)を2時間7分でゴール。
* 坂の多いスキーコース(砂利/土道)を3km以上歩き切る(その前後に3kmずつ舗装道も歩いてトータル2時間20分)
* 足首固定器無しで3.5km周回コースを49分で歩き、時速4km以上を達成。
* 足首固定器無しでの平行棒バランス歩行訓練を開始(両手を離しては1歩が限界)
* 松葉杖で坂の長いコースでを歩き始める です。このように充実した訓練が出来たお陰か、2ヶ月以上ぶりのプールでも、例年ほどのロスがなく、こちらも、この分だと1ヶ月以内には6月前半までの調子に戻ると思います。
 もっとも、問題もあります。それは歩行器の握り部です。これだけ長距離訓練が多いとさすがに握り部の何が悪いかが分かるというもので、長年の勘違いにも一つ気付きました。
 新しい歩行器は昨冬に何度も調整し、握り部を支える金属自体も一度完全に作り替えてもらったのですが、一向に良くなりません。それどころか手首が痛くなるばかりで、今では歩いた直後だけの傷みだったのに、翌日にも傷みが残るようになってしまいました。原因として今まで考えていたのが
(1)握りの柔らかさ
(2)手すりの高さ
で、特に(1)の問題は5月のハーフマラソンで顕著でした。だから、直後に握り部を徹底的に替えて、この問題はかなり改善されました。しかし、それでも手首は痛くなる一方です。
 そうして気付いたのが
(3)握りの角度
です。握り部を含む金属パイプは歩行器から突き出していて、それがずれ落ちないようパイプ部に横穴を明けてボルトで締めているわけですが、ブレーキの関係で歩行器備え付けの金属パイプではなく、別の歩行器のパイプを持って来て、それに高さ固定用の横穴を開けています(県の身障者用品エンジニアが作業をする)。だから、その穴をあける角度が、そのまま手すりの角度、すなわち真っすぐか、若干外向き(前の歩行器)か、若干内向きかを決めます。しかし、丸いパイプは滑りやすく、固定して正しい角度に穴を開けるのは至難の業で、昨冬に2度目に作り替えた際に10度ほど内向きになってしまいました。そして、それが全ての原因だったようです。
 一体、弓道の弓のように手の握りに多大な圧力をかける場合、握りの角度(弓道でいえば弓を真っすぐに立てる角度)がちょっと違うだけで正しい力は出ません。そして、少しでも捩じれた手首角度で手を押さえ続けたら手首が痛くなるのは当然です。でも、そんな簡単なことに気付くのに半年以上もかかってしまいました。
 原因は分かったものの、即座に修理できないのが夏休みの辛い所です。さらに県の担当エンジニアが8月末に代替わりする為に、未だに調整が始まっていません。恐らく2週間後の出張でもう一つの(折りたたみ式)歩行器を使う1週間の間、今の歩行器を預けて調整してもらうことになると思います。まあ、こっちも夏休みが終わってさほど歩くことも無さそうなので、それまでの我慢はできます。

 夏休みの終わりということは、介護も変更になります。大当たりだった臨時介護は高校3年生になって学校に戻り、月に1〜2回だけ週末に来てくれるのみです。だから、5月に辞めた「2人目=50%」が新しく必要になるわけですが、こちらは無事に補充が終わっています。彼女はもう一人の身障者と掛け持ち(そっちも50%)で、仕事の時間割の調整が今までよりも面倒になりますが、私の方がかなりフレクシブルなので問題はなく、これで「100%の仕事でないから別の仕事に移る」という問題だけは解決出来そうです。ちなみに、誰かが風邪を引いたりした場合の臨時には、夏介護「その2」に入った難民(半年)をあてることになりました。他に人がいないというのが、鉱山好況(失業率ゼロ%)の実体です。
 前回のレポートでこの難民に意思疎通以上の問題があると書きましたが、どうも、難民一般というより彼女の問題のようで、何度教えても間違えたり、多くの事でロボットのように細かい指示を待つありさまで、いわゆるマニュアル型人間を極端にした感じでした。おそらく移民の為の言語クラスで3〜4ヶ月で働き始められるようなクラスメート(キルナに恋人がいてやって来た例等)を単純に真似た、今風に言えば空気を読めないタイプだったからこそ、仕事に応募したのだろうと思います。もっとも、そのお陰で昨年のように介護のアレンジで大変な目に会わずの済んでいるのですから、そういう非常識さには感謝しています。まあ、何事もチャレンジはよいことなのでしょう。もっとも、これって私だけ特別なのかも知れませんが。

 最後に例によって無駄話です。
 今夏は昨年にも増して落雷が多く、恐らくは20年前の当たり年を越えた落雷量でした。幸いにして研究所の地上観測機器はダメージを受けずに済んだものの(昨年は100万円以上もする絶対値磁力計が壊れた)、代わりに市内の小学校が落雷による火事で焼けてしまいました。写真は、朝日デジタルに書いた 関連記事 に載せています。
 半分焼け落ちて、建物の半分しか写っていませんが、それを考慮しても、やや小さい木造であることが分かります(多くの学校が今も木造)。これはこの小学校(幼稚園付き)がフリースクールと呼ばれる民営小学校だからです。
 フリースクールとは、大きな普通の市立小学校ではカバーしきれない要請(原住民とか身心障害者とかクラスに溶込めない人とか特別なカリキュラムを求めている人とか)にあわせて、民間で運営されているもので、日本の私立学校と違って授業料とかはありません。ようするに市で出来ない面をカバーする為の非営利組織です。それで建物も小さくて済む訳ですが、建物自体は元々キルナ駐屯地の建物だったのを、スウェーデンが徴兵制度を止めて駐屯地が廃止になった際に民間に払い下げられたものなので、作りも落雷対策もきちんとしていた筈なのです。でも、避雷針が上手く建物をカバーしていなかったのか、十分な電流量に対応し切れていなかったのかも知れません。やはり雷は怖いものです。

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