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リハビリ記録その141

2014-7-27
山内正敏

 7月4日までの冷夏から一転して、ずっと最高気温20度を超える夏日(日本では夏日は25度ですが)が続き、1週間前には28度(県内には30度を超えるところもあった)を記録する猛暑(日本より10度低いけど)となっています。

 さて、ここ10年で2度目の猛暑ということに加え、夏の臨時介護のうちの一人(高校2年生を終えて18歳になったばかり)が歩行のみならず水泳も好きということがわかって、去る木曜日に14年ぶりに(発病以来初めて) 外で水浴び しました。普通には立てないので、岸近くは四つん這いで進み(写真は膝立ち状態)、ぎりぎり泳げる深さで泳ぎ始めて、最終的には足の届かない所で介護と2人で1時間近く泳いでおりました。
 岸は砂浜ではなく普通の土の岸なので、入る時と出る時が難儀しましたが、幸い船を出し入れするスロープがあったので、そこで体を乾かしたあと、寝そべってまま着替えて帰りましたが、結局のところ、この部分が一番大変で、それに比べれば泳ぎはまさに遊びでした(2人だったから危険も少ないし)。ちなみに回りには人はおらず、着替えで体を隠す必要がないのが利点で、私が着替えおわって、元の道に向かって小道を悪戦苦闘している間に介護も着替えたようで、更衣室の不要なスポットともいえます(でも地元の人に言わせると、一番の湖水浴スポットだそうです)。更に時間さえあえばバスで行ける湖なので、来年以降も天気が良ければ行くかもしれません。
 この日は泳いだ後に更に8キロ半歩いたので(バスの時刻表も見間違えて2キロ余分に歩く事になった)、介護共々、くたくたとなって帰り着きましたが、その分、訓練としては文句無しで、今後も天気が許せば泳ぎたいと思います(でも今年の水浴び日和は金曜日を最後に終わったらしいけど)。ちなみに介護は、泳ぐ前にもウエイトトレーニングをしていたそうで、久々に大当たりの介護だったといえます。来年の夏も来てくれそうなので、そうなったら、泊まりがけで海か川に泳ぎに出掛けるかも知れません。
 こういう介護を得て、他の訓練も順調で、松葉杖は2日に一回、2時間以上の長距離歩行も2日に一回歩いていて、新記録もいろいろ更新しています。また、足首固定器を使わずに腿を思い切り上げてあるく訓練(3〜4キロ)も何度かしており、極めて充実した7月となっています。
 7月は他に7月6日〜12日のロンドン出張もあったのですが、こちらでも現地介護が過去最高と言えるほど素晴らしい人物(なんでも大学を出た後、身障者の為のコンピュータ・ネット環境の整備を主にやっていて、ついでに時々介護もしている人)で、非常に充実した出張となりました。英国博物館をくまなく歩いてしまったのは良い思い出です。 写真 (写真撮影OKだった)はロゼッタ石で、実はこの石の名前をつけた彗星着陸プロジェクト(私は関係するのは周回探査機によるプラズマ計測)と関係した会議がロンドンであって、それに参加したのが出張の目的だったので、よい記念写真となっています。着陸が10〜11月ぐらいの予定なので、その際は何か記事を書くかも知れません。
 そんなロンドン出張でしたが、困ったこともあります。それはヒースロー空港の到着で、普通の空港ならエレベーターで降りる所を、この空港が地上4階から地下2階(地下鉄)まですべて下りスロープになっていて、下りの困難な歩行器使用の私は恐ろしく時間がかかりました。もちろん大抵の人にとっては荷物を転がしたまま降りられるでしょうが、それでもエレベーター皆無はどうにかして欲しいものです。
 他の問題は歩道から車道への急スロープで、中にはブレーキを駆使してすら降りられないようなスロープもあり、介護も「こういう問題はいつまでも解決しない」と言っておりました。車椅子用と称する歩道/車道間のスロープは全世界的に実際の身障者の視点が抜けているのかもしれません。
 こんな具合に、多少の問題はあったものの、リハビリ的には素晴らしい7月でした。しかし全て順調という訳ではありません。それは2人目の介護です。
 キルナのように人手不足の街では良い介護は勿論のこと、普通の介護ですら夏の休暇シーズンの臨時を見つけるのが大変で、今年はとうとう在スウェーデン4ヶ月の難民(ケニア出身)が2人目の介護(ハーフタイム)として来ることになりました。在スウェーデン4〜5年の難民や、ボーイフレンドの呼び込まれた欧州の移民(こちらは移住半年程度)は経験がありますが、現在進行形の難民は初めてで、スウェーデン語は余り理解出来ず、英語も片言で(指の名前も知らなかった)、私ですら意思疎通を取るのに非常に苦労しています。一番の問題はスウェーデン人のやり方(常識)をほとんど学んでいないことで、掃除の仕方から、時間の呼び方、各種道具の使い方、書類の書き方など常識に当たる部分まで全てこちらが教えなければならず、夏休みの今でなかったら私の仕事時間が大幅に削られていたと思います。
 とはいえ、難民が仕事をすることは難民受け入れ側には良いことであり、実際、この手の難民が2年後には最低限のスウェーデン語を覚えて立派な労働力になるのだから、そういうシステムの一部をかいま見るという意味ではこれも良い経験です。もっとも、今回の経験が個人差(彼女が特に常識に弱いかも)なのか、難民一般に言える事なのかは他の難民も経験してみないとわかりませんが、

 最後に例によって無駄話です。
 7月と言えばスウェーデンは夏休みのシーズンです(フランスは8月)。その為、研究所はほとんど人がおらず、仕事関係のメールも全く来ません。そういう私も出張後は公式には夏休みです。この夏休みノルマは、しっかり休養して秋〜春に備えるという意味もあるので、あまり仕事をする訳にはいきません。実は今夏は夏休み気分になれない理由(4年に1度の大型プロジェクトの公募が発表されて、今回は私がとりまとめをやる番となっている)があって、こっそり仕事をしようと思っていたものの、この10日ほどは、この暑さと好天で頭が働きませんでした。その意味では私の頭のオンオフスイッチがしっかりスウェーデン人になってしまっている気がします。まあ、30歳代ならいざ知らず、50歳代半ばとなれば、これが正しいあり方なのでしょう。日本もこのくらいの余裕が必要なのかもしれません。
 最後の最後に、ビジターと一緒に遠足に出掛けた時の写真と、昨日介護と13キロ歩いた先の写真です。
キルナの風力発電(鉱山所有、築10年以上)
スウェーデンの 高圧送電が木製であること(築5年の最新線)
鉱山の地下採鉱の拡大に伴い、その上の 湖を仕切って鉱山の上の部分の水を抜いてしまった様子
遠足の終点(アパートから8キロ)、道路の終わりは大抵は 大岩でブロックしている。
鉱山拡大に伴って 付け替えられた線路を、新設された陸橋から眺める
最新型の電車(ちなみに機関車で引っ張るタイプの方が速い)

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