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リハビリ記録その100(リハビリ記録100回と云う事は99ヶ月の筈ですが、途中リハビリ7bというのがあって、実はこれが101回目になります)

2011-3-6
山内正敏

 東欧ドミノ以来21年ぶりの民主化ドミノで地中海南岸(フェニキア文明の後裔)から目の離せない日々が続いていますが、そういう歴史的激動を傍目にリハビリだけは一歩一歩進み、毎月何かの進展があるという日々が、ついに退院(2002年11月1日)以来100ヶ月となりました。

 雪と寒波に悩まされた11月〜1月に続き、2月も例年よりも寒く、屋外での訓練(長距離歩行)が殆ど出来ない日々で(せいぜい4〜5キロ)、スキーもまだ始められる状態でないのですが、その分、室内での訓練は2月も快調でした。
 まず松葉杖ですが、両杖とも持ち上げたまま歩く訓練は、最長で200歩(1月が78歩、12月が44歩、11月が1歩)となり、今では8の字3〜4回(8の字1回で約70歩で約5分)をする間に何回杖を使うかという訓練になっています。ここ2週間の平均は、8の字1回当たりで杖を使う回数が2〜3回で、1回の練習で10回以下に収まっています。同じ類いの歩行訓練は平行棒でもやっていて、10往復で体の何処かが棒に接触するのは5回程度になって、いずれも足腰の安定性が増している事を示しています。予想外に良い進展なので、3年後に目標を定めているスキー市民レース参加がより現実的になって来ました。当面の目標は平行棒10往復と8の字5回もバランスを一度も崩さずに完歩する事ですが、これらは夏までには出来るような気がします。
 ブールの方は11〜12月に初めて出来るようになったメニュー3種(四つん這いから腰をあげたり立ち上がったりする系統の訓練)で、それぞれ10回挑戦したうちの何回成功するかで進展度を測っていますが、全てで10回とも成功する事がありました。もちろん好不調の波があるので、パーフェクトは1回だけで、悪い時は今でも半分しか出来ません。でも成功率は徐々に上がっているので、夏までには安定して10回ずつ出来るようになると思います。
 スタミナというか有酸素運動では長距離歩行の代わりに自転車訓練をやっていますが、これも快調で、回転速度だけでなく継続時間も伸び、一番重い段の順方向で常時25分〜30分、逆方向の同じ荷重で30分〜35分になっています。1年前も調子の良い時は順方向30分、逆方向35分漕いでいましたが、普通は20〜25分程度で、最近のようにしょっちょう長い時間漕ぐという事はありませんでした。平均して一回あたり5分長く(回転数にして200〜300回転=15%〜20%程多く)漕いでいると思います。
 一方、掌・指の回復は数値化が難しいので説明し難いのですが、実感として脚と同じぐらいに着実に(ゆっくりながらも)回復していて、例えば握力ですが、左手(利き手)の親指と掌の間に挟んで(掴む事は出来ない)紐やベルトを引っ張る事が出来るようになりました。右は未だに出来ないなので、明らかに回復と言えるものです。逆に、そういう所から、右手の訓練が余計に必要な事を実感したりします。そんな訳で、食事とかで積極的に右を使うように気を付けようと思います。あと、料理(介護に作って貰う)の手伝いの度合いが少しづつ増えて、フライパンで混ぜるたりする事がかなり増えています。
 仕事の方は、昨年10月の会議に関係した内容で論文集(Earth, Planets and Space 誌特別号)を作る事になって、その臨時編集委員をやっていたりします。会議の雑務係や、こういう編集委員をやってみて思った事は、私のように体の関係で大きな国際学会に出づらい人間にとって、編集委員という『ボランティア』が『いま誰が何をやっているのか』という最新情報を得るのに有意義だという事です。なので、もしかすると、何処かの雑誌の編集委員に立候補するかも知れません。

 最後に例によって無駄話です。
 キルナは寒すぎてスキーどころではありませんが、スウェーデン全体で見ると記録的な雪(寒さもだけど)のお陰でスキーをする人が増えているそうです。そういう潜在的に『スキー大好き』のお国柄か、スウェーデンテレビ(準国営放送)もスキーの中継には熱心で、今では大きな大会(世界選手権とかバサロペット90キロレースとか)を必ずネット生中継し、職場の人の少なからぬ数が試合をパソコンの小窓に流しながら仕事をしています。単純作業や肉体労働の時の音楽と同じく、中継の音が仕事能率を落とすとは限らないし、以前は研究所のテレビの前に皆が集まってましたから、それに比べれば無駄は少ないし、なによりも、研究者だけでなくサポートスタッフまでフレクシブルタイム制度となった為に、仕事の時間よりもやった仕事の量が問題になるから皆がやっているのでしょう。実際、金曜日のプール訓練の後、論文の校訂・レイアウトという単純作業をやった際に、スウェーデン人の真似をしてみたら、普通ならプール直後の午後という事で眠くなる筈なのに全然眠くならず、予想よりも早く作業を終えてしまいました。まあ、距離スキーと云う、殆ど緊張を必要としないスポーツだから可能なのかも知れませんが、ともかく準国営テレビがネット中継を平日の昼間にする理由が何となく分かった気がします。

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 3月15日の臨時メール
 日本では政府もマスコミも大学関係者ですらも、今まで起こった事の解説に終始していて、これから起こりうる事に対する対策を語っている所はありません。台風や火山と違って原発は先が読めないので、それで『パニックを避けるため』により悪くなるかもしれない事態について『何も語らない』という『マニュアル』どおりの対応しか出来ていないのが実情です。実は日本だけでなく海外のマスコミ(専門家)ですら予想が付かない状況です。それは停止していた4号機でも問題が起こったと云う事実が示しています。これによって、事故の規模はスリーマイル事故を越えたと考えるべきです。
 困難な作業に加えて、放射線レベルは普通に作業が出来る状況を遥かに越えています(防護服でも限界があり、もはや『人柱』の域)。更に爆発と被曝とで、陣頭指揮を執れる人がことごとく病院に収容されてしまった可能性があります。これだけの犠牲者を既に出している作業ですから、作業員は今までより及び腰になる筈で、残りの作業がスムーズに行くとは思えません。従って、全く手に負えなくなる可能性をもはや無視できません。その場合(それは原子炉自体の爆発を意味します)、風向き次第では北関東は勿論の事、東京でも場所によって高い放射能になる可能性があり(距離の2乗に逆比例というのは気象学的に間違いで、放射能の強い雲がゆっくりと拡散しながらやって来るイメージになります)、そういうシナリオでのリスクは、子供や赤ん坊にとっては無視で来ません。関東に住んでいて子供を持っている人、或いは妊娠中の人は、西の方に避難する事も考えるようにお勧めします。今回よりも軽度のスリーマイル事故ですら妊婦/赤ん坊は50キロ以上圏への避難を勧められています。但し、この手の生涯健康リスクは大人になるほど減るし、大人まで移動すると混乱になるのでもう少しだけ自粛するのがよいかと思います。

 ちょっと解説を加えると、バブルをあけたと云う事は、原子炉内の放射線をもった微粒子が外へ垂れ流しになっているという事です。当初の説明の『微量』は燃料棒が水を被っている場合の話であって、水を被らないと、燃料棒の一部がもの凄い勢いで放射性微粒子を作ります。それが3基。だから、発電所自体がかなりの放射線量と云う訳です。敷地で数百マイクロという事は、拡散元の建物内は最低でも数ミリから数十ミリと考えるのが自然です。そういう所での作業は人柱以外のなにものでもありません。そして、この濃度がもっと高くなると、注水作業が全く不可能になります。それは使用済み燃料にも言える事で、最悪、これが暴走すると原爆どころではありません。原子力の専門家『教授』連は、こういうマンパワーの問題を全く理解せずに『冠水すればどうにかなりかも』などと言っています。彼らは理想状態での運用の専門家ではあっても、人間かからむ事故対策に関しては素人なのです。
 私には、半径50キロ以内(風速5mで運ばれるとして時速20キロ、そのくらいは拡散せずに局所高濃度を保ちます)の小中学校が強制春休みに入って『疎開』させない理由が全く分かりません。たった2週間だけ残った授業とどっちが大切なんでしょうねえ?