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リハビリ記録その87

2010-1-31
山内正敏

 ここ数日、この冬何度目かの大型寒波が来て、2日前など一日中マイナス27度でした。ちなみにアパートでマイナス20度以下を記録する日は引っ越し以来もっとも多い冬になっています。もっとも、8キロ離れた研究所(普通の寒波だと街より10度寒い)は例年並みで、寒気の層が厚くなるタイプの寒波である事を示しています。

 寒波のお陰で雪が少なく、却って、ずっと歩きやすい状態が続いています。お陰で1月は連続3キロ以上の歩行を11日(50キロ以上)も歩き、筋肉痛すら感じました。当然ながら雪上歩行の速度は昨冬より上がり、先週は8キロ弱を1時間50分で歩いています。夏に比べれば10分以上遅いものの、雪道としては上々です。
 そのお陰かどうかは分かりませんが、膝バンド無しでの松葉杖歩行が急に速くなって、病院廊下(往復320m)で
10月:4往復70分。
11月:4往復半74分。
12月:5往復79分。
 1月:6往復81分。
と、距離にして2キロを1時間20分程で歩けるようになりました。松葉杖歩行で膝バンドを外したのがつい昨冬ですから、急速に進歩しているのがわかります。ちなみに昨冬は3点確保のへっぴり腰な歩き方で、今冬は最低どちらかの杖を持ち上げた、より自然なフォーム(交互杖)です。この先どこまで距離や速度が伸びるか分かりませんが、少なくとも膝バンドをしていた時(2年前の4月)のベストである8往復94分は可能な筈で(但し3年前に既に5往復54分)、出来れば今年中、遅くとも来年末までには達成したいと思います。
 歩くと云えば、階段訓練にも進展があります。体操療養師の時間に、手すりのみを使って 横向き (実際には体は斜めになっていますが)に昇降する訓練を始めました。両手とも片方の手すりつかまって片足ずつ昇降するのですが、片手を松葉杖で支えるよりも足にかかる体重が大きく、膝バンドをして、さらに腰バンドで体操療養師に支えて貰うという完全装備でやっと登る事ができました。純粋に脚力だけで階段を昇降するのがいかに大変かを再認識しました。それでも、年末年始に挑戦した時は階段5段が限界だったのが、2週間前には10段(半階)登り切る事が出来て、徐々に力がついているようです。もちろん、腕力なしで登れるようになるには、早くてあと3〜5年かかるでしょうが。
 歩行以外では、床運動で新しいメニューを加えました。片膝を立てる訓練です。今までも、ベッドの横で片膝を立てる事はやっていましたが、今回は完全に床の上で、陸上短距離走のクラウチングスタートの『位置について』の形にするものです。とは言え、足先を持ち上げる筋肉が存在しないので、四つん這いの状態から、片手片膝でバランスを取りつつ、もう片手で足を掴んで前に出して立たせるという作業になります。そこでバランス。できればバランスだけでなく、実際に『ヨーイ』の姿勢のように尻をあげたいのですが、今の脚力では持ち上がる気配がありません。まあ、でも、これを繰り返していればいつかが持ち上がるでしょう。

 リハビリ以外では、介護スタッフに若干の変化がありました。景気の回復にともなってキルナ鉄山の操業時間も伸び、その労働力として、介護の一人(スウェーデン人)がそちらの100%臨時(1ヶ月契約の更新で、これを1年半ほど続けると自動的に正規労働者になる)を始めたからです。キルナ鉄山の給料や福利施設の良さは群を抜いているので、そちらの100%臨時職があれば、私の方の45%正規を休職するの自然な理です。こちらでは、こういう具合に若者達が仕事をステップアップしきます。休職の穴に入ったのは同じハンドボール部の子(夏臨時のスポーツ少女)で、実際問題として変化があった気分はしませんが、それでも変化には違いありません。
 もう一人、90%正規の人(ポーランド人)もスウェーデン南端の彼氏の所(ネット見合い)に引っ越す為に4月に辞めます。こちらの方は後任が決まっていません。予定では新しく運動の好きな人を入れて、3人x55%でローテーションを組む積もりですが、このあたりは鉱山の景気が何処まで続くかという問題もあり白紙です。最後に残った一人(タイからの帰化)は1月から仕事のかたわら通信大学で勉強を始めています。通信大学といっても、真面目にやれば普通に大学に行くのと同じ期間で同じ資格が得られますから、自宅で仕事をしながら勉強する人には非常に良いシステムで、逆にそれを介護に推奨する為に50%採用という形を私は取っています。やはり若い子には出来るだけ早く私の所を『卒業』して次のステップに進んでほしいですから。実は4月に辞めるポーランド人も、私の所で働く傍ら、準看護師の通信コースに入っていて、1月は実習で病院で働いております。彼女の場合、休暇を最大限に使って、休日とかに仕事を入れているので、収入は途切れずに済んでします。こういう『優雅な』苦学生が可能なのもスウェーデンならではかも知れません。

 最後にちょっと毛色の変わった話です。
 冬は静電気の季節です。空気の乾燥のせいで金属とかに電荷が溜り易い為の起こる現象なので、絶対湿度が圧倒的に低い寒地(シベリアやアラスカや北欧)では日本と比べ物にならないほど静電気が溜まります。もっとも、人によって電気伝導度や発電効率が違うので、静電気が溜まりやすい人と溜まりにくい人がいて、私はどちらかと云うと安全な人間でした。なぜ『でした』という過去形かと云うと、今冬に限って異常に静電気が溜まって、特にエレベーターのボタンを押すと大きなスパーク音と共に激しい痛みを伴う程になったからです。プールの後がとくに酷く、天井にパイプが露出している廊下を歩くと髪の毛が逆立つ(引っ張られる感じがする)ぐらいになってしまいました。ここ、ほんの数ヶ月の事です。過去25年の極北の生活で一度も無かった貴重な経験で、お陰で、雷様や鬼の髪が逆立っている由来が分かったりして、それはそれで嬉しいのですが、あの痛みが徐々に激しくなるのには閉口で、金属を靴で踏んだだけで頭のてっぺんから電流が流れるのを感ずるに至っては、対策の必要を痛感するようになりました。
 なぜ今年だけなのか? その原因の候補に体質やトレーニングの質の変化があり、特にプールでは昨夏からランニングの練習を本格的に始めたので、それで電荷が溜まりやすくなったのではないかと考えたのですが、ちょっと理由が弱い気がします。次の可能性が秋に行われた病院の暖房再配管工事。金属には静電気が溜まりやすいですから、パイプが交換されれば静電気の溜まり方が変わる可能性はあります。実際、静電気を一番感じるのはパイプ等の金属が露出している廊下で、そのパイプは昨秋に取り替えられて新品になったばかりなのです。ところが、静電気を感ずる場所を色々調べると、そこだけでなく古い金属の下でも強く感じます。
 よくよく思い返すと、その同じ廊下で松葉杖の訓練をしても静電気はまったく溜まりません。となると、私に静電気が溜まる理由は歩行器にあるに違いありません。そこで5日前に歩行器にアース線を付けてもらいました。すると静電気が全く溜まらず、しかも廊下を歩くとアース線と床の間から絶えずパチパチという放電音が聞こえて来ます。何の事はない、私の体質が変わった訳でもパイプの静電気が変わった訳でもなく、歩行器の発電能力が上がったのが真相です。
 同じ歩行器を使っているのに変だと思ったら、実は昨夏にタイヤを違うタイプ(本来のタイプが品切れだった)に変えた事を思い出しました。つまりタイヤが替わった為に静電気を集めやすくなったのです。タイヤの回転が静電気を集めるのは如何にもあり得る話で、実際、放電実験で静電気を蓄える際は、ゴムバンドを高速回転させて、電荷分離を起こした分子が再結合する前にペアの相手から引き離す事をやります。でも、それは歩行器ごときで起こるとは思いもよりませんでした。

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