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リハビリ記録その80

2009-7-5
山内正敏

 夏至前後にやっと『夏=最高気温+15度以上』の好天の日々が来たのも束の間、10日も経たないうちに再び肌寒い(最低3〜4度、最高12〜13度の)悪天が戻って来て、折角の休暇入りだと云うのにちょっと残念な気分ですが、それでも短い『夏』を利用して色々と進展があります。

 一番大きいのは研究所の通勤にバスを初めて使った事です(足首のみ固定)。郊外路線(アイスホテル行き)のせいか、市バスと違って車高の非常に高い長距離仕様のバス(大きな荷物室が下にある)しかなく、しかも基本的に身障者非対応なので(ごく一部の便には身障者用の昇降機はあるものの作動に非常に時間が掛かる事から同僚の迷惑を考えると使う気になれない)、本来なら私が使う類いの通勤手段ではありませんが、今年の目標の一つに長距離バスと汽車での遠出というのがあって、その練習を兼ねて挑戦したものです。4週間前に1回(帰り)、2週間前に1回(行き)使って、条件が揃えば不可能でない感触を得た後、先週はバスと徒歩(帰りの8キロ道)に頼って、とうとうタクシーを使いませんでした。
 車高のやや高いバス自体は1年前のストックホルム旅行で経験していたので( リハビリ記録68 )、少し楽観していたのですが、実際に挑戦すると荷物室の無いストックホルムの郊外バスと長距離仕様のキルナのバスと難度が全然違っていて、この一年の階段訓練の成果が無ければ乗車はとても無理でした。何が違うかというと、ストックホルムの郊外バスでは後ろの降り口にグリップの良い手すりが両側に付いていたのですが、キルナのバスにはそれが片側しかついておらず、しかもその手すりがすべすべで裸手でも手袋を使っても、腕全体を絡ませてすらも全く握れず(滑ってしまう)、手すりが役に立たない事です。結局、片手は手すりにしがみついているものの、体重の多くは介護の肩に強くすがって登る羽目になりました。しかも、狭くて急な階段でそれをやる訳ですから、ギリギリ登ったと言って過言ではありません。逆に言えば、この先も何度も練習する必要があると言う事です。そんな訳で下車は床に座り込む方法しか有り得ず、暖くて床が濡れていない夏まで挑戦を待ったのは正解のようです。
 ただし、バスからの眺めは新鮮で、苦労して乗っただけの事はあります。病気になる前は自転車通勤だったので、夏の晴れた日に通勤バスに乗ったのはキルナに来て初めてで、同時のバスの高い位置からキルナ郊外の野草の花満開を見たのも初めてだったのです。こんな形でキルナを再発見するとは思いもよりませんでした。
 手すりの問題はバスの仕様そのものの欠陥という事になります。そういう欠陥手すりが今まで問題にならなかった(しかも、メーカーはスウェーデンのボルボかスカニアのどちらか)という事が不思議な話で、手すりを必要とする人が長距離バスにあまり乗らないという事を意味しているのかも知れません。そういう意味では私が路線バスを使い続ける事が(運転手からの情報を経て)メーカーへのインプットになる訳だから、手すりの問題をアピールする意味でも、今後もバスを多用するのが良い気がします。もっとも、そういうアピールが出来る前にバス会社が私の乗る路線に優先的に身障者対応バスを投入してしまうかも知れませんが。
 あと、手すりの代わりに松葉杖を使う事も考えています。その『松葉杖+介護の肩』で階段を登るのは、膝バンドを付けてならば一ヶ月前の体操療養師の時間に普通の階段でやっており、その時の感触では膝バンド無しでも可能だと感じています。そんな訳で、『松葉杖+介護の肩』を膝バンドなしでやる訓練は夏休み明けにも始めると思います。階段訓練では、更に膝バンド付きながら両方とも杖で登る事にも2週間前に挑戦しました。ただしこちらは安定性も脚も全然足りず、腰バンドで体操療養師に少し持ち上げて貰うほか、片方の杖の壁にもたれさせて安定性を辛うじて確保している状態で、まだまだ相当に訓練が必要な様です。これも体操療養師の時間で無いと不可能なので、夏休みの今は、坂道で基本的なバランス感覚と脚力を鍛えている所です。
 その松葉杖歩行ですが、今年始めたばかりの膝バンド無し歩行を随分とこなしていて、特に1.7kmほどの坂道周回コース(3%程の坂ばかりで、途中8%程の短い登りがある)を2時間弱で何度も歩いています。今はタイムを縮める事よりも、タイムを維持しつつ歩くスタイルを難化させる事に専念しています。具体的には3点確保歩行から3週間前には準交互杖(2本目の杖をつく直前に片足を離す)に変え、それを更に坂の緩い所のみ交互杖(2本目の杖を浮かせた状態で足を踏み出す)に変えつつあり、数日前には4%以上の急坂以外では全て(全コースの8割以上)交互杖で歩いて、なおかつ2時間以内で歩き切りました。ちなみに昨年の膝バンド付きでの同コースのベストが1時間余りなので、半分強のスピードしか出ていませんが、こちらも秋までには少しは速くなると思います。
 夏なので長い距離の歩行訓練も当然やっていて、例えば研究所からアパートまでの8キロ弱のコースは4度歩き、ベストも1時間36分と去年のベストよりも5分速く平均5.0km/hを達成しています。ただし、その進展の殆どは下り坂部分で登りの進展は殆どありません。下りの進展は急坂にもあって、去年ならブレーキを掛けながらでないと降りられなかった10%超の坂を、今年はゆっくりながらもブレーキ無しで降りる事に成功しています。但し油断は禁物で先日友人宅のバーベキューでワインを飲んだ後に歩いて帰ったら、酔いで上り急坂でのバランスが確保出来ず転倒して、酒の後の2km以上はタクシーに乗るべきであると再認識した次第です。

 最後に例によって無駄話です。久々に 息抜きの文章 を書いたのでアップしました。 暇を持て余している人はどうぞ。
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