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リハビリ記録その69

2008-8-9
山内正敏

 結局2年続きの冷夏になった中、唯一天候の良かったのが7月最後の週ですが、運悪くフィンランド(ヘルシンキ郊外のエスポー)での研究会(5泊)で、ずっと室内に缶詰だったため、未だに太陽に飢えています。

 そのフィンランド出張は日程的には楽で、疲れが出る筈もなかったのですが、ベッドが悪くて余り良く眠れず、結局、その後1週間の休暇でやっと体調を戻したところです。
 今年の元々の予定では、泊まりがけ出張は5月のオーストリア出張で打ち止めの筈だったのですが、オーストリア出張を上手く終えた段階で、次のステップとして(言葉の通じない)海外を現地介護のみで済ませるという目標が出来てしまい、そういう目で今年の研究会のリストに再び目を通すと、ヘルシンキでの研究会が私にぴったりのトピックかつ場所である事に気がついて、これはちょうど良いリハビリ目標とばかりに、2ヶ月前に慌てて参加申し込みました。そんな経緯なので、今回は私の介護を連れて行かず、外国としては始めて現地介護(2人)のみに頼りました。参加を決めた段階では一人で行く予定で、車椅子でなく歩行器で一人で行く(持てる荷物が少なくなる)事に不安はあったものの、幸いにして前回報告したストックホルム4泊『リハビリ』観光で不安は払拭され、しかも同僚がひとり同伴する事になって、結果的には全く気楽な移動となってしまいました。滞在の方も『英語の喋れる』介護を会議主催者がアレンジしてくれて、あまり『リハビリの挑戦』という感じはしませんでしたが、それでも一里塚である事には変わりありません。
 そんな具合で、比較的楽な気分で云ったのですが、それでも問題がありました。ホテルの廊下です。リハビリ施設らしき部屋や医療関係者の部屋まで確保されているホテルだというのに、食堂に向かう廊下に数段の階段があり、その横の『車椅子用』スロープが、階段と同じ角度=山の急坂より酷い傾斜という、歩行器では全く不可能な角度だったのです。結局、部屋まで戻り、貸し車椅子に移って(レンタルしていて良かった)、介護に押して貰いました。幸いにして、翌日にホテルのマネージャーから従業員用のエレベーターの位置を教えて貰い、食堂までの移動に問題はなくなりましたが、とにかく信じられない廊下である事には変わりなく、次回からのホテルへの問い合わせに付け加えるべき項目が増えたと同時に、貸し車椅子は必ずあったほうが良いと認識した次第です。もちろん、いざとなれば床に座り込んで階段を座ったまま昇り降り出来ますが、それは最終手段であって、できれば避けたいものです。ちなみに、現地介護アルバイトの一人(彼女は生まれも育ちもアメリカで、ほんの数年前にフィンランドに来た医学生)によると、こういう(車椅子用の通路における)急坂はアメリカでは法律で禁止されているそうです。
 ともあれ、今年4回目(3月日本、5月オーストリア、6月ストックホルム、今回フィンランド)の旅行は大過なく終って、同時に『車椅子でなく歩行器』『近い外国を現地介護のみ』という大きな一里塚を越えました。一里塚どころか、来年の目標まで達成してしまったので、次の出張の際の新しい挑戦目標がすぽっと消えてしまって、しばらくは旅行なんかしたく無い気分です。

 旅行以外のリハビリも順調に進んでいます。
 例えば歩行器(膝バンドなし)は、アパートから研究所まで(8km)行きも帰りも1時間45分以内で歩けるようになって、こちらは今年の目標を既にクリアーしています。下り坂の方もタイムをきちんと測ると着実に進展しています。ただ、こっちのほうは、平地の1/3以下のスポードしか出ない状態のままで、膝の筋肉が全然足りません。そして、筋肉が弱い間は回復速度も遅いので、曲がりなりにも充分な速度で下りが歩けるようになるのは来年になりそうです。考えてみれば膝バンド無しの訓練を本格的に始めて1年しか経っていないのですから、これで急に回復したらそちらのほうが不思議です。
 下り坂や距離の訓練の他に、400mトラックでの競走も2度やっています。1回目は6月上旬で、昨年2度に渡って『2周 対 5周』で競走した相手の体操療養師と、今回は『1周半 対 4周』でやりました。私のハンディが大きくなっているのは、去年と違って膝バンドを使用していないからで、その割にはハンディの変化が小さく、当初の予定では全然敵わない筈でしたが、意外にも2秒差という僅かの差(負ける事は負けましたが)で済みました。
 2回目は夏の臨時介護相手で3週間前に行いましたが、こっちは私が12周(4800m)歩く間に、彼女がクロカン1700mコースを6周(10km強)走るというもので、私の2周(800m)と彼女の1周(1.7km)との差が毎回10秒以内(8分40秒〜9分)という好勝負でした。3600mまでは私が若干リードしていたものの、ラストの差で負けて、52分40秒(介護)対53分(私)の20秒差。
 なぜ、こんなレースに介護が乗って来たかと云うと、実は昨日から始まった 110km山歩き大会 の『一気歩き部門』(他に『テント担ぎ部門=一般部門』がある)に彼女が参加しており、その練習が必要との事だったので、自然な流れで私が提案して、そのまま了承という事になったのです。良い勝負だったので2週間後(彼女の最後の担当週末:彼女は今度高校3年になり、始業は直後)にもう一度同じレースをする予定です。介護の一環として一緒にレースをするなんて、考えてみれば普通ではありませんが、お互いの利害が一致している以上、誰も文句は言いません。
 ちなみに、彼女へはこれ以外にもトレーニングをいくつか提案していて(4週間前の60km歩行と2週間前の20km走+40km歩行)、彼女はそれを着実のこなしており、もちろん私の長距離歩行訓練にはすべて付き添ってくれています(正規介護は車で待機して一緒には歩かない)。こういう熱心な運動選手にはこっちもサポートしたくなる訳で、山歩き大会で食べるようにとインスタント赤飯を渡したりしています。
 その110kmトレール・ランですが、今日の昼、無事24時間10分の所要時間で(他のクラブメート…ハンドボール部…2人と共に)ゴールしています。こういう介護こそ私には理想的で、是非とも夏以降も臨時介護として残って欲しいものですが、勉学余暇共に忙しそうで(進学予定でしかもハンドボール部のレギュラー)、とても残ってくれと頼めたものではありません。良い介護ほど直ぐにいなくなるという法則はここでも当てはまるようです。

 歩行器では他に足首固定器すら使わない(もちろん膝バンドなし)で歩く訓練も始めていて、今では近くのコンビニ(330m坂道)まで往復1時間以内で買い物が出来るようになりました(足首を固定していたら20分ですが)。足首固定器を使わない訓練は、足首というより体全体のバランスや膝の訓練にもなり、今の所はそちらの効果の方が大きい様です。もうひとつ良いのは、脚の裏に無理が来ない事です。足首固定器というのは足先全体をサポートするものですから、言い換えてみれば常時硬いプラスチックに足の裏が当たっている訳で、そのうち、常に垂れ下がっている部分に負担がかかる事になります。健康体なら、これは踵+足先全体(特に親指側)ですが、私のように足先を支えきれない人間の場合、足先のうちの小指側が特に垂れ下がる事になり、その結果、小指の付け根にだけ強い圧力が常時かかる事になります。
 歩く距離が短ければこういうのはあまり問題になりませんが、私のように週30kmも歩いていると、異常な圧力を受け続ける小指付け根にウオノメが出来てしまう訳で、痛い事このうえありません。毎月にヤスリで削ってもらっているものの、歩き難いのには違いなく、それが数年前からの悩みの種でした。ところが、同じウオノメ状態でも、足首固定器を外して歩くと痛みが全然少なくなります。そんな訳で、足首固定器なしで買い物に行くというのは、リハビリ目標の優先順位の上位になっています。当然ながら、次の目標は、1キロ先のショッピングセンテーに行く事になります。
 歩行器以外では、松葉杖が今年は去年よりはやや頻繁にやっていて、というのも、2年続きの冷夏といえども今年は圧倒的に蚊が少ないからですが、進展の方は練習量の少ないところから予想通りゆっくりです。それでも、着実に進歩している訳だから、私は満足しています。進展が遅い理由の一つに、膝バンドを使用するときのフォームに違和感を少しずつ感じるようになっているからというのがあって、こういう『悪いかも知れない』フォームで負荷の高い練習を大量にするのが若干怖いからです。具体的には、歩行器の時と違って足を突っ張っている感じで、そういうフォームは、たとい膝バンドをしていても膝に負担をかけるような感じがします。そんな訳で無理に歩く距離を伸ばす気になれず、毎回2km程度で止めています。  自転車の方も、腰の爆弾は気になるので去年よりもきつい事は避けており(一回あたり1時間余りで坂道9〜10キロ)、それで非常に大きな進歩はありません。それでも、確実に昨年以上に速くなっていて、満足しています。プールは2ヶ月の夏休みで再開が再来週なので、それまでは何も出来ません。

 最後に例によって無駄話。
 8月5日の東京集中豪雨が今までに無い程に一点集中したのは、地上からの上昇気流が直接の原因で、その元々の原因が都市化である事は、地学を少しでもかじっている人間には当たり前の事ですが、これを(二酸化炭素による)地球温暖化と強引に結びつけようとする論調を新聞サイトで見かけたのでさすがに唖然としました。そんな訳で、久々の 駄文 です。急いで書いたので勘違いとかあるかも知れません。その時はご指摘下さい。
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