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リハビリ記録その41

2006-4-09
山内正敏

 3月は2月に速攻で始めた仕事(論文の締切)と度重なるビジターと、それらの忙しさに起因する風邪とで、自分の時間の殆どない月でしたが、それもやっと終わって再びトレーニングを楽しんでいます。

 先ず歩行ですが、初めて短い松葉杖で雪の上を歩きました。靴が不安定なので距離はわずか40〜50mですが、とにかく雪上でもどうにかなる事が確認出来ました。ちなみに前から使っている肘松葉杖だと、急坂でも余り問題なく歩けて、アイスバーンでかなりツルツルの日も2度程挑戦しています。一方屋内(病院廊下)だと短い松葉杖で1時間近く歩くことが出来て、それは取りも直さず1時間近く松葉杖の手掴みを握ってられることを意味します。現時点でのベストは約330mを20分で、 完全に片側の杖しか使わない 歩き方だと120mが23分です。ただ、そのくらい足に負担をかけると1時間もしないうちに膝が痛んできます。膝に無理が来ないように一応は膝補強バンドをしているのですが(それがないと一歩も歩けない)、その補強バンドが2ヶ月前に壊れて以来、未だに代品が届かない為にこんな不便をかこっています。
 2ヶ月前に膝バンドが壊れたあと、始めの1ヶ月は非常に古いバンドでしのいでいました。でも、それでは松葉杖訓練に支障を来すため、壊れたバンドを応急処置してもらった奴を1ヶ月前から使っています。問題は応急修理の際に角度の設定が変わったらしい事で、1時間以上足に負担をかける歩き方をすると膝が痛くなって来る訳です。角度設定の修正は専門家だと5分で出来る作業ですが、その専門家はキルナにはいません。しかも、この種の補助危惧の管理補充調整をする ortpedi という部署が、昨年までは月に2〜3回キルナに出張していたのに、それが今年から完全に撤退した為です。新年からのシステムによれば、たった5分の膝バンドの調整の為だけに、キルナの(何も知らない)医師に会って(正確には予約から初めて)、その医師に remiss という病院間書類(日本でいう紹介状の公文書タイプ)を出して貰って、それを受けて120キロ離れたエリバレの病院から、いついつ来いという呼び出しがかかり、かれこれ1ヶ月かかってやっとエリバレの病院に行く事が出来て、そこで晴れて調整をして貰えます。エリバレに行く交通費はさすがに県持ちですが、失われた時間は戻って来ません。こういう非効率はリハビリを遅れさせ、長い目で見ると非経済的ですが、こういう馬鹿げた決定は(専門科たる ortpedi の月にたった2〜3回のキルナ出張すら取りやめるということ)、県都ルーリオの政治家が予算節約とかいう理由で行ったものです。この種の理不尽(というか、長い目で見て極めて不経済)は県都ルーリオの連中の得意とする所で、発病以来何度と無く煮え湯を飲まされています。まあ、四国の面積に人口が2万人余りと言う超田舎町では仕方ないし、そういう非効率性を除けば良い福祉を受けているのだから総合点としては満足ですが、それでもここまで県都ルーリオの馬鹿げた身勝手を見ると文句の一つも言いたくなります。地方レベルの政治家の長期的経済視点の欠如は世の東西を問わない様です。
 でも、ともかく膝バンドの問題を早めに解決すべく、医者には会って来て、ついでに年末以来徐々に痛みの酷くなってきた魚の目を削り取って貰いました。幸い、魚の目の芯が直ぐに見つかり、トータル30分足らずで全てが終りましたが、初診の医者がさっさとやってくれたのも、患者1人あたり30分の持ち時間というゆとり診療のお陰で、そういう意味では、やはりここの医療制度は「急がば回れ」的に効率的と言えるのかも知れません。

 プールの方は 階段4段目(水深50cm)での膝屈伸 がきつい姿勢でもかなりの頻度で10回出来るようになった他、一番浅い所(水深105cm)で片膝立ちでの浅い屈伸も始めています(深い屈伸はまだ出来ない)。また、階段2段目での手放し屈伸では、かなりゆっくりと曲げる事が出来るようになって、今までの、脚力だけで支えきれないから膝頭に手をつく、という「着地」風な曲げ方とは異なって来ています。室内用自転車でも記録は毎月伸びており、脚力と言うか臀の筋力というか、それが着実に回復している事が分かります。
 一方、手の方は、トランプを自力で握ってブリッジをしたり、チェスの駒を動かしたり(マグネ式だからちょっとの失敗では盤面が崩れない)、麺を1本1本箸で掴んだり出来るようになりました。これもひとえに10月に貰った箸で握力の訓練をしたお陰だと思います。で、 その箸を売っているサイト ですが、ビジターの一人が親切にも探しだ出してくれました。次回、キルナに来られる予定の方は是非とも入手にご協力お願いします(注5月:と書いたら、早速親切な人が送ってくれました)。その代わりと言っては難ですが、 キルナ旅行者向けの一般的キルナ案内 をホームに載せましたので、参考になれば幸いです。
 手の回復は、もちろん握力が全てではなく、動かない指を最大活用する技術が上がった事をも意味します。それで、条件次第では、ファスナーを動かしたり、ボタンを外したり(はめる事は出来ない)、両手でハサミ(それぞれの手でハザミの片方ずつ)を握ってを紙に切れ目を入れたり(5ミリ程度の切れ目だけ)出来ます。もちろん、これらは条件が揃った場合だけで、例えばハサミの場合、どんなに頑張っても不活性ガスで膨れた袋に切れ目を入れる事は出来ません。
 ところで、チェスとトランプの件ですが、これらのゲームには相手という者が必要です。私の回りにチェスをする者など全くいないのですが、たまたま、介護の友人(恋人?)がキルナに滞在していて、その彼がチェスの相手を捜していると言うものだから、これは介護に恩を売る良い機会とばかりに、その介護の担当の日に連れ来て貰って、チェスを3晩ほどやり、そのとき、連中がブリッジを知らないというものだから、ついでに教えた訳です。異常に忙しい3月を何とかクリアーした開放感から、何も考えずに、チェスでもトランプでも、と介護に答えたのですが、よく考えてみれば、今まで私は他人にカードとか駒とか持って貰わないとゲームなぞ出来ず、結果的には病気後初めて自力でトランプとかチェスの駒とかを繰る事になりました。トランプを始めた時は、「しまった、私には出来ないんだった」と思いましたが、そこは勢いでなんとかなって、お陰で手の機能の回復を実感できた次第です。たまには何も考えずに楽天的に挑戦するのも良いものです。」

 身体の回復以外では、5年ぶりに研究所でオーロラ観光客向けセミナーをやりました。以前のスライド式と違ってパソコンでの操作で、つくづくパソコン時代というのは身体障害者に可能性を与える時代だなと痛感しました。ただ、私の場合、『可能である=過労になりやすい』という問題があり、注意してかからなければなりません。そもそも過労がこの病気の最大の原因なのですらら。現に1〜3月は確かに異常に忙しく、問題を少しずつ感じています。やりたい事があり、それが出来る環境もあるというのは、リハビリ途上の人間には(それを我慢しなければならないという意味で)苦痛だったりする訳です。人生は短し、、、。

 最後に雑文ですが、やっと長年書きたかった 西遊記もの を書き始めました。5年がかりでも10年がかりでも完成させたいものです。
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