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リハビリ記録その38

2006-1-07
山内正敏

 論文の締め切り(1月9日)等でバタバタしているうちにモーツァルトの生誕250年目を迎えてしまいました。その間、特にクリスマス前は雪が降り続け(と言っても日本みたいなドカ雪ではありませんが)、除雪が間に合わず一時期は歩行器で前に進むのが困難になったほどです。そればかりか、12月20日にはアパート前の道路にトナカイまで出現してしまいました。街中でトナカイを見たのはキルナ在住15年で初めてで、きっと雪ばかりでアスファルトの区別がつかなかったのでしょう。ただし、今では除雪も進んで、昨日今日などは極夜明けの明るい昼焼けの元、紫色の空を見ながらの散歩(というよりトレーニング)を楽しんでおりますから、雪に閉じ込められている訳ではありません。これが病気前だったら喜び勇んで毎日スキーに行っていたと思います。
 その歩行訓練ですが、昨日は4キロ半を1時間40分で歩きました。アスファルトの上の最高速度とほぼ同じで満足のいくものです。松葉杖も進展があって、 普通の(短い)杖 での安定感が増して室内を補助無しで歩いている他、 肘支えの杖 では片杖(これはさすがに補助付きですが)で後ろ向き数歩行く事も可能になりました。前向きだと60mを13分で歩けます。普通の歩き方では病院廊下往復300m強が12~13分で、時速1.4kmに相当します。
 脚力の1ヶ月単位の回復は室内用自転車の回転速度(ホームページ参照)やプールでも現れていて、特にプールはつい1ヶ月前に出来始めた 階段4段目での四つん這い屈伸 が、(体調によって出来たり出来なかったりしつつも)今では最大10回近く出来るようになって、1ヶ月前との違いを感じます。他に、新しく階段の3段目で 膝頭に手をついて(手すりなし)静止する 訓練を始めています。まだほんの一瞬しか出来ませんが、そのうち時間が長くなると思います。
 毎朝10〜15分の床運動の方も、2ヶ月前に始めた頃より体の動きが良くなった感じで、その成果として、前回も簡単に書きましたが、自力で(床にぺたんと座ったまま)寝床を敷く事が出来るようになりました。もちろん布団にしわが出来るし、腰にもあまり良くなので、介護のいない週末にしか自力ではやりませんが、それでも自力で何かが出来るのは嬉しいものです。ちなみに、寝床の準備以外にも、寝る前に介護の手助けを必要とする部分(親指を使わなければならない作業)があって、本当の自立までにはまだ数年はかかります。
 もう一つ、生活での重要な進展があって、これも緊急時のみですが、トイレに独力で行く(座る)事が出来るようになりました。ただし、こちらは条件が多く、第1にズボンを脱ぐ時に尿管を固定しているテープが外れたりする危険があって(というか実際に外れて大問題だったのですが)、必要に迫られない限りやるべきではなく、第2にズボンの脱着に電動式歩行器が必要で、以前、トイレに座った状態で歩行器のバッテリーがあがるという嫌な経験をしている身としては、本当の緊急時でないと自力でトイレにいくメリットはありません。また、電動式歩行器に寄りかかった状態では、ズボンを脱ぐ事は出来ても履く事は出来ないので、いちいちベッドまで行かなければならない不便もあります。たまたま、クリスマスの介護不足(介護が病休のときに代理が見つかりにくい)の時期だったので、3回程自力で行かざるを得ませんでしたが、その時すでに上記の尿管がらみのトラブルで困ってしまいました。とはいえ、自宅であれば緊急時に自力でトイレに行けるらしいというのは大きな進歩で、介護が不在の時の一番大きな不安が若干除かれて大いに満足しています。
 足に比べて進展の遅い指ですが、それでも、例の箸のお陰か、真ん中の軽いファスナーなら両手を使って降ろす事が出来るようになりました。もちろん上げる事は無理で、あと大きなジャケットのファスナーとかポケットのファスナーとかも出来ませんが、進展には違いありません。

 こうして見ると、発病から4年を越えても確実に回復は続いています。しかも、その長期回復というのがほとんど全ての部位(例えば脚力とか腕力とか)に当てはまり、ほぼ一定のペースです。一般に神経の再生(というか完全更新)期間は1〜3年と言われていて、いかに私がトレーニングが好きだと言っても、それだけでは割り切れない何かを感じます。ギランバレーの後遺症に関しては『神経細胞は再生するが、細胞本体が再生しても、そこから延びる神経繊維が行き先が分からない』という説明が広く信じられているようですが、それすら腑に落ちません。むしろ、もっと化学的な理由があるように思えます。というのも胃石や尿結石の問題等、病気後の体内の内分泌が確かに変わっているからです。そこで色々と 可能性を考えてみました
 この件に関して神経内科の親戚に尋ねたのですが、この手の問題はギランバレーの臨床と神経幹細胞の基礎研究を平行してやっている研究者でないと答えられないだろうとの事で、未だに解答を得ていませんが、答え如何によっては、この後遺症をあっという間に直してくれる特効薬の開発も夢ではないので、誰かがやってくれる事を期待しています。そんなわけで、昨年までは神経幹細胞の再生だのES細胞技術だの騒いでいた私ですが、今年はもっと簡単な解決策に向けて騒ぐ事にします。

 話は変わってオーロラです。今年は太陽活動極小期なので(オーロラの出ない日は分からなくても)オーロラの出そうな週は2〜3ヶ月先まで予報出来て、それによると、春先まで月末の最後の週が良いようです。少なくとも、この予報の出始めた11月冒頭以降、11月末も12月末も大きなオーロラが出ています。あと、ツアーの方も、ついにキルナに滞在するというツアー(成田発着4泊5日)が今年から出来たみたいで( ここ からリンクしてください)、値段の方も悪くないようです。暇のある方はもちろん、暇のない方もどうぞ。ただし私は冒頭にも書きましたように忙しくてお会い出来ないかも知れませんが。

 最後に久々に軽い話です。いかに忙しくても世の中はクリスマスと正月なので、それにちなんで 原稿用紙10枚程度の書き物 をしました。暇を持て余している方はどうぞ。
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