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リハビリ記録その24

2004-11-07 山内正敏

 コンセンサスにもコンプロマイズにもコンシダレーションにも全く無縁な功利主義者が選ばれて、世界は過去4年の停滞に引き続いてますます退化しそうな情勢ですが、私の方は発病3年と云うのに未だに月単位の回復を続けています。
 そうです。この病気の発病から早くも3年も経ってしまいました。あの長かった入院生活すら今や2年以上も昔話です。入院中に聞かされた予後の見込みは『神経の再生メカニズムからして、回復は発病から最大3年までで、それ以降は後遺症として残る』というものばかりでした。そういう意味では、3年目というのは期待と不安の両方を兼ねたスポットでもあります。それまでは回復するんだという期待と、そこで回復が終るんだという不安。その3年ですが、実際の所は今までのスムーズな回復の単なる延長点に過ぎない様です。
 3年が上限というのは、いうなれば、回復速度が徐々に遅くなって、3年当たりで概ね頭打ちになるという意味です。医学における頭打ちと云うのは、物理における指数的な頭打ちとは違いますが(もっと急かな?)、いずれにせよ、頭打ちの前に段々と回復速度か遅くなるという時期がある筈です。そして、この冷淡な予想に呼応するかのように、目に見える回復をしない部位、例えば親指とか足首とか確かにあります。でも、一旦回復を始めたところ、例えば脚力とかは時間に完全に比例して回復を続けており、減衰の兆しはありません。そういう意味では、回復が終るとされる3年を経ても回復が続いている事に何はともあれまず感謝したいと思います。確かに月々何か報告すべき進展があるわけですから。
 まず、 ? 新しい歩行器 での歩行練習を始めました。今までは肘で支えるタイプの歩行器でしたが、今度のは腕全体で支えるタイプの低い歩行器です。普通歩行器と云うとこの低いタイプを指します。手首が回復して身体を支えられるようになった事と、腰が安定してきて左右にふらつかなくなった事のお陰で使えるようになりました。この歩行器だと、車椅子からの昇降が介護の補助無しで自力で出来ます。問題はブレーキで、掴むという事が全く出来ないので、斜め横に付けてもらって手首でブレーキがかけられるようにしていますが、いまいち不安があるので取りあえず室内だけで練習しています。介護に支えてもらったら玄関の敷居も越えられますから、雪道を歩けるようになるのも時間の問題でしょう。
 腰の回復はプールで最も顕著で、例えば 片足でバランスを取る 事が水深 105cm で左右とも出来るようになっています(但し手で水を掻いてバランスを取っていますが)。水深 120cm だと、手を水の外に出したまま、片足を後ろ向きに蹴ってもバランスが取れます。また、水深 135cm で片足での屈伸も始めました。バランスの回復は平行棒訓練にも反映して、完全に ? 片手だけで棒を伝って歩く 事が出来るようになりました。つまり平行棒でなく1本の補助棒だけで歩いている訳です。ただ、まだ怖いので、直ぐに両手で支えられるように平行棒の真中を歩いています。
 関節もすこしづつ軟らかくなっており、例えば膝ですが、足首を除けば正座が出来るようになりました。指も進展があり、介護に握ってもらったら親指を外に出しても拳骨が握れるようになっています。親指を中に入れての拳骨が約半年前で、今回はその次のステップ。手の回復ペースと云うのは、まあ、こんなもので、始めからゆっくりしています。他の部位の回復は冒頭リンクのホームページならびに概略表(簡略版は こっち )を御参照ください。一応この情報があれば、10日後のウーミオ大学病院での検査(1年半振り)でも役に立つのではないかと期待しています。
 で、こうやって整理してみると、個々の筋肉は時間にかなり比例して回復している感じで、ただ、部位によって回復が違うので、傍目で見ると回復が段々スローダウンしているように見えるかも知れません。例えば3つのパターンを考えます。
10%/月の回復、回復上限9割の部位:1年で頭打ち
3%/月の回復、回復上限8割の部位:3年で頭打ち
1%/月の回復、回復上限7割の部位:7年で頭打ち
これが全筋肉の3分の1ずつを占めると考えると、始めの1年は毎月
10/3 + 3/3 + 1/3 = 4.7%
の回復をしている事になりますが、1年を過ぎるとこれが毎月
3/3 + 1/3 = 1.3%
に落ち、更に3年後には毎月
1/3 = 0.3%
に落ちる事になります。つまり、時間を追って、遅い回復の部位だけが残る訳です。実際にはパターンは3つでなく数多くあって、その結果、体全体として見た回復が段々スローになる事が予想されます。これが正しいかどうかはともかく、そういう考えが私の頭にあるから、その時々で訓練を集中させなければならない部位を考えてしまい、それで回復の減速というものを余り実感していないのかも知れません。もちろん、毎日数時間もリハビリしているから、それで回復が長引いているという面は確かにあるとは思います。
 理由はともあれ、俗に云う3年の壁を越えて私が回復を継続させなければならない事には変わりありません。それが私の今の目標です。

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 話は変わって、漱石のデビュー百周年がいよいよ近付いて来ましたが、こんな時に限って金融界から引退させるというのも良く分かりません。百周年祭というのもとんと聞かないし、夏目漱石は本当に国民的作家なのだろうかという疑問が湧いてしまいました。猫と草枕のファンとしてちょっと寂しい感じです。

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