Encode is "iso-2022-jp" or just "Japanese" (if the text is "moji-bake")

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リハビリ記録その23

2004-10-10 山内正敏

 先月あたりから、日本語メールの一部が消失気味なので、調べてみたらunix-日本語コード(charset=iso-2022-jp)以外のメールを夏以来SPAM-mailとしてはねていました。主に海外からIEを使ったメールに影響があったようです。昨日担当の人にプログラムを変えて貰ったので一応解決している筈ですが、過去1ヶ月の私へのメールが届いていないかも知れないと疑われる方は、御面倒でも英語で御連絡下さい。御迷惑をおかけします。

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 日本は台風がぼこぼこ上陸しているようですが、スウェーデンも雨ばかりで、どのくらい降ったかと言うと、ダムがフル稼動となって、電気料金が値下がりする程です。雨が振れば電気代が安くなるって、こんな当たり前の事が、言われるまで気付きませんでした。異常は雨だけでなく、気温の高いのもそうで、10月になっても緑が残るという奇妙な光景(過去14年で初めて)が続いています。
 そんな異常暖秋でしたが、3日前ににようやく本格的雪が降って、そのまま氷点下の銀世界に突入しました。また融けるとは思いますが、ここ数日は初冬の風景です。道路も路地や歩道で雪が凍結し、凍結道路の足慣らしに丁度良いとばかり、昨日今日と歩行器で出掛けました。昨日は平地の雪道、今日は坂道の雪道です。夏の間に広がった歩幅を短くリセットして、何となく雪道を歩く感覚が戻ってきたように感じます。
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 歩く事といえば、松葉杖の訓練が順調に進んでいます。最近は足を踏み出す時に片杖だけで支える『交互杖歩行』練習が中心で、この1ヶ月のうちに5%程度の坂道も(登り下りとも)歩けるようになりました。但し時間はかなりかかって、平地で時速 400m が限界です。一方、常に両杖で支える歩き方では坂の多い道1.8kmを2時間で歩けるようになりましたが( 更新地図 参照)、それをやった時はさすがに疲れ切って、アパートの入口で氷刺(アイスピッケル=アスファルトでもこれがあった方が安全)を外そうとした時、バランスを崩して転倒してしまいました。松葉杖での転倒は初めてです。この日の介護は夏臨時の18歳の女の子だったので、すっかり動転してしまったようです。少し可哀想な事をしました。幸いにして、緩やかな着地(というのも杖で支えながら段々と身体が崩れたため)だったので怪我はなく、更にアパートの出入り口だったお陰ですぐに通りがかりの人の助けを得る事が出来てなんとか立ち上がる事ができ、結果としては転倒の訓練になりました。まあ、転倒なんてしないほうが良いに決まっていますが。
 松葉杖訓練は、他に踏み台(5cm程度)昇降と、両杖を上げての静止訓練(3秒が限界)も始めています。ちなみに 脚力ウェイトトレーニング で足を(曲げた状態から)のばす時の負荷は両足あわせて30キロ余り(今でも毎月1キロずつ増加)で、体重の半分にも満ちません。それでも静止訓練が可能なのは、立ち上がるのに必要な脚力に比べ、足を伸ばし続けるのに必要な脚力がずっと少なくて済むからです。但し、側面の筋肉(尻、膝、足首の総べて)が足りないのでバランスを保つのが難しく、そう簡単に支え無しで立ち続ける事は出来ません。という事は、今の僕にはバランス訓練(特に横向き)が必要で、具体的には、脚力ばかりでなく尻(全体のバランス)や太股(膝を支える)、下脚(足首を支える)の筋肉を鍛えなければなりません。特に膝と足首は、今までこれらを固定するギブスを使って来た為、尻にくらべると遥かに回復が悪く、実際、これらの補助器具の無い状態、例えばプールの中では、腰(水深90cm)まで水に漬からないと 手放し静止 は出来ません(現在のベストは水深80cm(膝上25cm)で10秒静止)。
 そういう訳で、今まであまり重要で無かった足首の訓練が問題になってきましたが、これがなかなか難しい。左右のバランスなんて、いくら(ギブスをはめたまま)歩行訓練をしても鍛えられな訳で、特に足首が問題です。とりあえず、室内用自転車の際に足首固定ギブスを外して漕いでいますが、これは前後動の訓練に良いが左右動の訓練にはイマイチです。身体がもう少し軟らかくなって手が足首に届くようになり、かつ手がもう少し回復して足首を動かす事が出来るようになると進展もあるのでしょうが、今の所はプール訓練(週2回)以外に効果的な訓練はありません。そのプールですが、今夏は夏休み+工事で7〜8月の丸50日間がお休みとなって、9月は夏休み前までの段階に取り戻すのにほとんど費やしてしまいました。それでも9月後半から進展が見え、最近はプール内の階段で 四つん這い になれるぐらいにバランスがついて(四つん這いになるのが難しい)、そのまま足を屈伸させる訓練などを始めています。
 脚と同様に手も少し進展があります。先ずは この写真 をどうぞ。これは1週間前に挑戦した時の模様で、フィルムも にあります。
 実はこの時、まさか出来るとは思っていませんでした。ただ、他人がやっているのを見て、なんとなくラケットを持てそうな気がして試してみたら、なんとか持てたので、そのまま打って見たわけです。但し、10分もすると指が疲れてラケットを持てなくなりましたが、とにかく出来ただけで大きな収穫です。中学3年の頃にクラスで大流行した卓球がこんなところで役立つとは思っても見ませんでした。

 身体以外の特筆すべき事としては、飛行機での日帰り旅行があります。日帰りと言っても、家を出るのが朝4時50分、帰り着くのが23時30分というとんでもないもので、健康な人間にもハードなスケジュールです。実は出張は金曜日だったので、普通なら2泊して日曜に帰った方が宿泊費込みでも安くて楽なのですが(そういう航空運賃体系になっている)、今回は介護を現地で調達するという試みの為、いきなり宿泊の面倒は大変だろうと思って日帰りにしました。無事に帰ってきたので、次回こそ泊まり掛けでの現地介護に挑戦します。と同時に、行き帰りの飛行機を介護無しで移動する時間も伸ばさなければなりません。
 介護の時間は普段も少しずつ減らしています。特に9月からは、週末の昼の2時間を介護無しで過ごすようになり、先週からは、平日でも研究所にいる時に2時間程介護無しで過ごす時間(といっても会議の時間だけど)を組み入れるようにしています。もっとも、私のように毎週毎週リハビリや会議等の時間割りが変わる人間にとって、どの時間帯を介護無しにするか決める(介護の時間割りは3週間前までに決めなければならない)のが大変な作業で、簡単に介護の時間を減らす事は出来ません。今までの推移は昨年末3.0人(週117時間)だったのが2月から2.9人(週113時間)となり、それが9月から2.7人(週106時間)に減っいます。たった0.3人減らすのに1年かかっている勘定になります。

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 話は変わりまして、キルナ鉱山の話です。キルナ鉱山の拡張に伴って、キルナの街の一部が移動する話が、遠く日本でも報道されたそうですが、おいおい話を聞いてみるととんでもない誤報道のようです。街が無くなる訳ではありませんし、街の下に坑道がある訳でもありません。
 キルナの世界一良質な鉄(70%)を含む層はほぼ真下に伸びていますが、鉱山会社が最新の探査技術で調べた結果によると、この鉱脈は地下1キロ当たりから街の方に少し曲がり、最悪の場合、鉱脈が街側に300-500m程侵食するらしい(たった1キロ地下の事も今の科学技術では分からない)という事のようで、これが話の発端です。そうなると、その下を掘る前に、その上の建造物を動かさなければなりません。というのも、坑道で毎晩爆薬を仕掛けるからです。今まで陥没した事はありませんが、念には念を入れる訳です。さて、この300-500mってところに建っている建造物ですが、その殆どは築50年以上の古い家だけ(市の人口の10分の1以下)です。従って、今回の移動計画は、鉱山の利益に見合う(国から補助金が出るかどうかすら不明)、極めて現実的なプランと言えるでしょう。ただ、その中に鉄道や市役所が入っているものだから騒がれたのではないでしょうか。日本だと、これぞ補助金のチャンスとばかりに経済を度外視して街を作りかえるでしょうが、福祉国家で税金の無駄遣いは出来ません。
 日本での報道は真実からかけ離れたもののようですが、BBC では一応事実を伝えていました。但し、それでも、何も知らない人間なら間違った印象を受けるような書き方ではありました。

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