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リハビリ記録その15

2004-1-31 山内正敏

 1年の一番暗い4分の1が終り、ようやく青い空が戻って来ました。藍色の極夜空とは気分が違います。
 先月少しだけ持ち上がるようになった脚(ヒザの先)ですが、利き足(左足)なら、腹這い時で90度まで上がるようになりました。右も少し良くなっています。実は、この訓練は15ヶ月前の退院時から毎日2回ずつ続けているもので、初めの1年は全く反応が無かったのですが、1年を過ぎたあたりから少しずつ反応が出てきて、この数週間で急速に回復してきたものです。使っている筋肉は、太股の裏というより寧ろ尻の筋肉で、どうやら、松葉杖で立ってバランスを取る(横を向く)訓練に伴って尻の筋肉の使用量が急に増えたお陰で、急速な回復に繋がったようです。
 長らく全く反応のなかった所で、ようやく改善の兆しを見せているところに、もう一つ、 左手小指の第3関節] があります。これは、自力で曲がらないばかりか、1日2回の柔軟運動で介護に曲げて貰おうとしても、関節が2つに分かれてしまって物理的に曲がらず、レントゲンでも変形が認められいるという、いわく付きの関節で、紆余曲折の末、ようやく正しい柔軟方針を8ヶ月前に見つけたものの(それ以前は2つに分かれた関節のどちらが正しい関節かすら分からなかった)、先月まで何の改善の兆しも無かったものです。
 ところが4週間前、正規介護が風邪で休んだ代理の18歳臨時介護(=怖いもの知らずの男子高校生)が、くだんの難攻不屈関節を私の指示通りに曲げようとしたところ、その馬鹿力のお陰で突然ボキッと音を立てて関節が曲がり(さすがに彼も肝を潰していた)、音の大きさに比例して確かに痛かったものの、その日を境に、時間をかければ左小指第3関節を正常な具合に曲げる事が出来るようになりました。ただしそれの出来るのは、力のある、かの18歳介護と、正規介護のうちの唯一の男性だけ。力の弱い介護ではまだ無理な様です。ただ、関節の固さも痛みも週を追って減衰しており、この分だと、あと1〜2ヶ月もすれば、女性介護でも曲げられるようになるのではと期待しています。全く、介護の下手くそな男子高校生だって、その『知らぬが仏』のお陰で大金星をあげ得るという教訓です。というのも、今回の件はベテラン介護では絶対にあり得ない事ですから。現に介護の1人は僕の指示に従って曲げる事を『作業療養師の指示がないから』と拒否しており(遵法的態度ではある)、その作業療養師と言えば、キルナ市どころか県全体にも指のリハビリをきちんとできる人が一人もいない有り様ですから(だから 600km 離れたウーミオに行かなければならない)。これだから、介護のチームには男女の両方が欠かせません(男ばかりだと、これまた収拾が付かない)。
 小指第3関節が何故ここまで酷くなったかと言うと、発病1ヶ月目に手首保護の目的で付けたギブスのせいで小指関節が変形し、しかも十分な柔軟運動(毎日2回20分ずつは必要)をしなかった為に(というか、そんな事の出来る余裕のある病院は世界中何処を捜したって無いに決まっている)そのまま固まってしまったのです。退院で専用介護が付くようになってやっと柔軟運動の時間が取れるようになりましたが(退院した方がリハビリ出来るってのも妙な話ですが)、不幸な事に、その際に介護連中が作業療養師から習った関節柔軟は、関節と関節の中間(=骨の中間)をもって指を曲げるという、いわばテコ式で(支点である関節から見ればそうなる)、この方法は、変形していない関節なら問題ないものの、変形した関節(2重に分かれた関節=2個の支点)でこれをやると関節を悪化させます。かくして、退院から半年で、人指し指、中指、薬指が次第に(ぎくしゃくながらも)曲がるようになってきた(もちろん自力で無く介護が私の指を曲げる事が出来るようになったという意味ですが)のに反し、小指第3関節だけが、その異常さを際だてさせて来た訳です。
 そうこうする内に昨年5月のウーミオ大学病院訪問(そこには手の整形外科がある)で、右手の小指だけは正常に曲がるようになり、その時はじめて、二重に分かれた関節のどちらがニセ関節なのか分かった次第です。それまでは二重関節のどちらが正しい関節であるか、キルナの作業療養師はおろか医師にもレントゲン技師にもわからず、キルナに(というかノルボッテン県全体に)指のリハビリどころか指の疾患そのもの分かる医療関係者が一人もいない事を露呈しています。
 ウーミオ訪問以来、手の柔軟はこの指に特に集中してきましたが、右手で有効な方法も左手では必ずしもそうでなくて、関節柔軟の方法をいろいろ試行錯誤せざる得ず、結局、2つに分かれた関節の真中(正しい関節の根元)を押すという方式に落ち着いて、今月の成果に至りました。ちなみに、全ての作業療養師が(明らかに問題のある)テコ式柔軟を指導していましたから、そのように大学で教えているのでしょう。

 教訓:小さな関節の正しいリハビリ法なんか結局誰も知らない! 要するに自分で考え、試行錯誤して正しいリハビリ方法を見つけないと、うかうか指導員の言いなりになっていては、関節を悪化させかねない。言い換えれば、リハビリに関してはまだまだ研究の余地があるという事。

 で、小指の次は、いよいよ大物の親指です。これは未だにほとんど曲がりません。上述した手の整形外科によると、回復の見込みは非常に低いそうですが(=介護が一生必要かも知れない)、これも根気よく柔軟を続ければどうにかなるように思います。
 指ばかり長々と書きましたが、足の方も着実に回復していて、松葉杖に雪刺ピンをつけて雪上でも練習するようになりました。体操療養師によるリハビリ訓練の無い日に、病院廊下またはアパート前の道を(天気と気温によりけり)30分以上かけて 300m 以上歩いています。ペースは毎分 10m 程度。よく考えたら、泳ぐ方が速い…。
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 話は変わって、、、、。
 去る1月21日、研究所で小会議室に入ろうと敷居に向けて勢いをつけた反動で車椅子がクルッと後ろに転倒し、後頭部を激しく床にぶつけて、激しい脳しんとうに見舞われました。意識は完全に正常だったものの、とにかく救急車を呼び、
  13:05 転倒、
  13:20 救急車到着/簡単な診察、
  13:30 救急車に乗り込む、
  13:40 病院着、
  13:45 病室に入る、
  14:35 医者の診察(なんで50分も待たされるんや!)、
  15:10 レントゲン、
  15:30 CT、
  15:50 レントゲン/CT の結果は OK(内出血なし)、、、
 という具合に推移し、転倒後3時間で家に帰りましたが、その後2日程頭痛と悪寒が続き、3日目に一応症状がおさまったものの、実は10日たった今でも腹筋を使う度に脊椎上部が痛みます。出血は無くとも神経が傷付いていたりする恐れがあって、まだ安心という訳には行きません。ちなみに、脳神経科は一番近いところで 600km 離れているので、ほいほい行ける距離でも無く、しばらくはキルナの主治医と相談しながら様子を見るしかなさそうです。
 転倒の原因は、前日に車で車椅子を運んだ際に、転倒止めのつっかえ棒を折り畳んだまま戻すのを忘れた為ですが、そもそも人間なんて忘れ物をする動物であって、そんな人間の注意だけが頼りというシステムはシステム自体が欠陥です。そこで、事故の翌日には早速車椅子の会社にメールを出しました。ただ、この車椅子会社は世界で一番軽くてコンパクトな折り畳み式車椅子を作ってくれているので、けちを付けるので無く、改善案として『転倒防止のつっかえ棒を折り畳んだ際には、自動的に車輪がロックするようにするべきである』と提案しておきました。つっかえ棒が車輪に当るようにすれば良いのだから、極めて簡単な改良で済む筈です。という訳で、転んでもタダでは起きないという記録を今回も更新してしまいました。ところで、改良案を考え付いた時に思ったのですが、どうして今までこんな簡単な安全ロックが付いていなかったのか不思議です。
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 最後に、恒例のオーロラ情報ですが、新年より例の リアルタイムの画像

up = north
left=east, right=west
down=south
を20秒更新(今まで1分更新)にして、更に毎朝、前夜の画像を自動的に mpg movie にするようにしました。暇な方はどうぞ。
 ちなみに、この動画で確認できるオーロラ爆発(らしき活動)も ピックアップ しました。過去1ヶ月で(悪天候を含めて)はっきりしたオーロラが見えなかった夜と言うのは全部で7晩で、観光客向けオーロラ率8割。10年ぐらい前の統計では5割だったので、今月のオーロラ打率は意外に高いものだと驚いているところです。

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