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リハビリ記録その1

2002-11-16 山内正敏

 キルナは本格的スキーシーズンで来週にはワールドカップの第1戦もあります。
 退院から2週間が経って、少しは24時間介護の自立生活に慣れてきました。引っ越したばかりのアパートのうえ、四六時中他人がいるので気分は病院の延長ですが、全てを自分で決めかければならない所などは、やはり社会復帰の一里塚といえます。

 退院して良くなった事:
  *やっと自分本来の健康食が食べられる(病院食は油っこくて塩辛くて野菜果物が貧弱な不健康食で、味はともかく栄養面で閉口していた)。
  *専用の介護人なので柔軟体操に十分な時間が取れる(病院では1日15ー20分だったのが退院後は30ー40分を2回)。
  *オーロラを見る事が出来る。
  *テレビがない(病院だとついつい映画やビデオを見てしまって時間を無駄にしてしまう)。
  *引越し荷物が(介護のお陰で)片付いて、必需品が自由に取りだせる。介護のお陰で部屋が綺麗になっている(一人で住んでいたらこんな事はありえない)。
  *電話が拡声器になって自分で使えるようになった(病院ではヘッドフォンだったので看護婦さんに手伝って貰わないと電話に出る事も出来なかった)。
  *夜遅くまで友人と酒が飲める(病院でも飲めるけど飲酒時間はせいぜい7時ー9時半)。
  *ステレオで音楽が聴けるので良い音を楽しむ事が出来る。

 退院して(一時的に)悪くなった事:
  ×体操療養師によるリハビリの時間が(週5回から週2ー3回に)減った。
  ×常にたった1人が一緒にいるので気を使う様になった(病院のように不特定複数だと気楽)。
  ×衛生管理、安全管理に不安が増えた(特に介護の一人はどう見ても介護に向かない人間で困っている)。
  ×トイレなど複数の介護が必要な場合、Larm という呼び出し介護に連絡するのだが、5分で来る事もあれば40分も待たされる事もあって、病院での即時反応とは比べ物にならない。
  一時的ながらも、生活やリハビリの能率が落ちて、仕事の時間や読書の時間が取れなくなった(買い物や調理など病院に無かった時間が増えた上に、身の回りの世話も病院の看護婦さんみたいに手際よくない)。
  ×病院の廊下で車椅子を漕ぐ自主トレの為にわざわざ防寒着を来て外に出なければならなくなった。
  ×これは悪いというんじゃ無いけど、薬代が有料になった(、この国では年間1万円までは実費を払い、その後自己負担率が減って2万円以上の分はタダになるが、入院中は始めから極めて安い入院費に含まれている)。

 と云った所でしょうか。ちなみに介護には看護婦なみの給料(子供を養って暮らせる給料)が市や国から出ますから(=私一人だけを週38時間介護しても生計が立つということ)、私の為に使われる税金は退院後のほうが多い筈で、私の満足度とは可成りズレがあります。

 この半月の進展ですが、手首を固定して、そこに更にフォークを バンドで固定 すれば、自力で食事できるようになりました。ただ肩の力を使うので5分ぐらいで疲れて腕が上がらなくなり、また手がどうしても傾いてしまうのでスープは無理です。あと、手でのタイプが速くなって、今回は口を全く使わずに手だけでタイプしています(前回までは 人工クチバシをくわえて口でタイプ していました)。それから、指貫みたいなものにミニポールペンのついた小道具でサインの練習をしています。
 実は10年ぶりの免許証更新を12月に控えて写真とサインを道路公安委員会に送らなければならず(この国では全てが郵送で済む)、手が全く利かないのにどうすべきか、と入院以来気掛かりだったのですが、とにかく一昨日なんとかサインして送りました。尚、アルファベットは曲線が多くサインの再現性がゼロなので、直線の多い漢字にしましたが、それをスウェーデンの公安委員会が Swedish Driver License のサインとして認めるかどうかは今後の返事待ちです。
 ところで、もしも過去1年の間に私がサインしなければならない事態が生じたらどうなるかと云うと、まず、スウェーデン関係の身分証明書以外の事柄であれば病院の専用相談員(クラート:日本語・英語ではケースワーカー)が代理でやってくれ、アパートの契約などもそのようにしてきましたが、日本関係(海外の日本人は日本に住民票がないので実印も無く、実印の必要な書類の場合、領事館に出頭してサイン証明を貰わなければならない)でサインが必要になったら(実はそうなりかけた)領事しか代理人になれないそうで、私の場合に果たして日本大使(スウェーデンの場合、領事と兼任)がキルナまで出張できたのかについては未だに分かりません。
 さて、退院後の社会復帰ですが、訪問者だけは大量に迎えています。2週間で8組45名。それに呼応して6晩に渡って酒を飲みました。特に先週は木曜に10名、金曜にダブルヘッダーで12名+12名が訪れ、夜中まで騒いでおりました。驚いたのは看護婦さんの酒好きで、病院で甘いものばかり食べている姿からは想像もつきませんでした。
(今日のタイプ時間=2時間5分)

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