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放射能汚染のモニター方法(4月10日版)
(http://www.irf.se/~yamau/jpn/1104-monitor.html)

=== 個人対策は こちら です ===
=== これは色々な分野の研究者の有志による『専門家知識交流ML』のまとめの一部です ===
=== 議論はまだ途中なので、今後大きく変更するかも知れません ===


現在やるべき課題
1、過去に放出された放射性物質とその影響の評価(緊急ではないがなるべく早く):
2、現在流出中の放射性物質とその影響の評価(一番の課題):
3、今後、もしも原発から突発性の放射性ダスト流出(爆発とは限らない)が起こった場合に備えての対策:
上記3つついて、それぞれ
(a) 大気
(b) 土壌
(c) 地下水
(d) 海水
の4つの媒体を考える事。


現時点での方向性

(a)大気汚染
 不測の爆発など、いざと云う時に確実にその広がり・移動をモニターする必要があります。これは、人々の不安を減らす意味でも重要です。
(1)現在ある存在する多くの観測点に対して、そのデータの質を評価する:
 これは、何分平均値を取ればノイズを落とせるかとか、一日の変動幅と基線の分離とか、の内容になるので、一般向けではないかも知れませんが、これを系統的にやるとデータの意味を理解する人がより増える筈で、あとはそういう人たちに口コミでの説明を期待できる。(ある程度分かる人間にしか分かるような形であっても、データを評価する価値はある)。

(2)ダスト追跡の為の地上観測ネットワークを作る:
 簡易線量計のような簡単な計器であっても、それを二次元に稠密に分布させる事で(50km四方に1km置きに作るだけで2500点必要です)、高放射能地域がどのように移動して行くかがひと目で分かりますから、気象庁の予報よりも遥かに有用なツールになります。
* 無人観測装置のフォーマットや、運用者を誰にするかまでのセットで学術会議や政府に提案する(恐らく一番遅い)。
* ガイガーカウンターとパソコンさえあれば、ネットにデータを流せる筈だから、そのやり方(規格統一が望ましいが、絶対ではない)を学会などのホームページに流して、100キロ以内の住民からボランティアを大々的に(学会連合で)募集する。その際に、機械の事が分からない人には、それが出来るボランティアが出向くシステムを作る。
* 空白地帯(特に20キロ圏内)の為に、携帯をつかった観測装置の作り方(これも規格統一が望ましいが、絶対ではない)を学会などのホームページに流して、同時に、どこが空白地域であるかも随時地図上で示す。この場合、金銭的な問題(通信代とか装置代とか)の解決の必要はあります。携帯関連の会社にスポンサーに貰うのが一番理想的です。
*企業を動かす方が政府を動かすよりも早いと思われるので、どういう企業が放射能情報を欲しがっているか考える必要があります。運送会社とか?

(3)以上の3つのラインを元にネットワークを作るとして、ハードに関しては別のMLに詳しい人が揃っていそうなので、そっちで議論して貰い、このMLでは手続きなどのソフトを議論する。たとえば、
* どういうメッシュにするか(1km x 1km?)
* どこが発信元になるか(アメダスを持っておる気象庁が最適だけど、これは政府が言わないと動かない)
* 簡単な観測による網羅から次第に精度を上げるか、或る程度の精度のものを少しずつ展開するか
* ボランティアの集め方
* 実費分のサポート方法/スポンサーの募集
*ボランティアのとりまとめ(これが結構めんどうなので、ボランティアの組織に頼るべきだと思います)

(4) 線量計以外のモニター方法を示して、基線50キロ〜100キロぐらいの粗いメッシュでよいから実施させる。例えば、大気電場(DC)の測定は、原発現場から100キロ離れていても、大量の放射性物質流出をモニター出来ます。ただし、柿岡での測定は古典的な方法(電線を張る?)で、日本に1つしかなく、柿岡並みの精度を要求すると百万円以上かかる。今簡単に手に入るのはfield millで、精度は落ちるが役には立つ。


(b)土壌汚染
 3月23日のSPEEDI発表の後の26日に、原子力安全委員会が『評価方法への提言』で、『SPEEDIではマトモな評価が出来ないので、現地調査で土壌データから各点、各点の値を一個ずつ推定する』方法を推薦し、それが4月4日付けの学術会議の第二次緊急提言の1キロメッシュでの土壌調査の必要という形で出ています。ここで使われている仮定は
『放射能の大部分は、その土地の土壌に降り注いだ放射性物質が出し続けているものである』
で、これは現在の高止まりの放射能値が風向きに依存しない成分事からも裏付けられます。逆に言えば、日変化から、土壌成分と浮遊成分に大雑把に分けられます。最近の 暫定土壌調査 も、これを裏付けています。
 この分野の詳細は原子核、化学分析、土壌分析、地質の専門家に任せるべきで、調査方法は確立されている筈です。但し、測定点が多いのでボランティア(あるいは学生の実習の一環)でも出来るようにマニュアルをしっかりすべきである事と、あと、リモートセンシングの手法を使えないか模索する必要はあり、それをここで議論する必要があります。例えば、大雑把ながらも広い範囲をカバー出来る大気電場(DC)の測定や、吸収線(セシウム元素というより、セシウムが別の元素を結合した分子の吸収線)を調べる方法があります。


(c)陸水汚染
一番の難題で、まず、調べられる井戸の所在を調べる必要があります。リモートセンシングで浅い所の水脈が分かれば随分助かるのですが、ともかく、アイデアの必要な部分です。先ずは採取可能な全部の井戸のリストアップから始める必要がありますが、これこそ住民の協力と学生などのボランティアが必要です。


(d)海水汚染
この広がりを大雑把でも良い方掴む事は、国際問題上でも急務です。サンプル調査では、固定点の値の変化は分かってもも、広がりは推定出来ません。放射性物質を含む水が海面にあれば、それによる大気の電離をつかって電場測定法が走査型調査に有力ですが、それをするくらいならガイガーカウンターで走査した方が早いという話もあります。ただ、海面での汚染が陸上の電場に影響を与えるなら、海岸線でのリモートセンシングという手法が使えます。


その他、補足
4、他の分野
大気の伝導度増大は雲核にも影響を与えそうで、そっちも協力者が必要でしょう。ここで想定しているのはリモートセンシングで、放射能を浴びるリスク無しに調べられる(原発に近すぎる場所とか避けられる)という利点があります。他に観測点を置けない海上でも有効です。これも学術会議に提言すべきだと考えます。


5、表示方法(リアルタイムモニターについて)
* 表示の概念は
http://r.diim.jp/
をダストの動きに追跡に特化させた形。
* これら観測点のデータ(1時間平均値)をアメダスのような2次元カラーコード方式に直して(0.5 マイクロSv/h 以下は白)、現在、1時間前、2時間前、それぞれ見れるようにするソフトが必要です。
* その前段階として、これらのデータを一定間隔で各サイトに取りにいって、1時間のrunning averageと至近10測定での標準偏差を自動的に計算する。


6、 このMLでの進捗
測定装置のハードに関する部分でいくつかアイデアが出て来た
データフォーマット(案)
観測地点番号
緯度・経度
観測者ID
測定装置ID
測定日時
測定値


7、ボランティア/スポンサーの活用
 いま足りないのは人です。
* 水に関しては、各農家(農家は大抵井戸を何処かに持っている)に委託、或いは、ボランティア/学生に委託出来る内容だったら、できるだけ委託して、変な値の所が出た所だけ再調査する。
* 浮遊放射物質については福島、北茨城に住んでいる人に呼びかける。
* どういう知識のボランティアに何が出来るか、っというリストがいる
山内正敏
スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)
(他のMLや研究者、ボランティア組織、企業などからのコメントを待っています)
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