今年は久々に夏をキルナで過ごし(6月〜7月を完全にキルナで過ごしたのは初めて)、7月上旬は1週間の休暇を取って、頭を空にすべく体力ばかり使いました。日曜〜木曜(7月8日〜12日)が山籠りでキルナ山塊を120〜130キロ程歩き、帰った直後の日曜(15日)に6年ぶりのフルマラソン(42キロ)に参加して、この夏はスポーツはもう十分という感じです。
 山の4泊は今まで泊まったことのない山小屋ばかりを渡り歩きました。天気が良ければもう一泊する積もりでしたが、後半は悪天候に悩まされ、最終日に至っては雷の予報まであったので5日目に下山しましたが、それでも素晴しい内容の大旅行だったので、同行者がホームページを作ってくれました。私も記録を作成中ですが、完成はいつになることやら …。
 6年ぶりのマラソンのほうは、全コース砂利道という田舎でありました。キルナの南40キロの村で毎年開かれているもので、スヱーデン最北のマラソンでもあります。6年ぶりのブランクを考えてかなりゆっくりと走り(20キロ以上走るのは6年ぶりなので3時間5ー10分を想定していた)、前半を1時間半で回ったまではまあ良かったのですが、後半に1時間50分もかかって、結局3時間20分30秒に終わりました。特にスタミナの完全に切れたラスト10キロに57分もかかって、長距離(15キロ以上)の練習の不足を痛感しました。まあ、でも40歳という年齢を考えれば、満足すべきなのかもしれません。
 7月8日以降、まる1ヶ月というものずっと雨がちの天気で、最高気温が10度に満たない日もあり、暑中というより寒中です。そういう寒い夏を慕ってか、今週(8月6〜10日)の国際流星会議には日本人が20人近くもキルナにやってきました。
 参加者の第一陣が早くも先週木曜に到着し、ラップランド宣伝の為に何処か案内する必要があったところでもって、翌金曜日(8月3日)は久々の晴天に覆われたので、ナルビク(キルナ鉄山の鉄鉱石の輸出港)まで出かけたところ、途中の山は標高10 00m以上すべて新雪をかぶっていました。
 直接調べてみたら1〜2日前のもので、要するに8月1日か8月2日の本格積雪があった事になります。これは僕が知っている限り最も早い記録で、例年だと国境が9月上〜中旬、キルナ側が9月中〜下旬、ナルビクが10月です。2ヶ月早い! あとから友人に聞いてみると、この新雪は7月30日から3日間も降り続け、そのあおりでドイツ人の山ガイドがキルナ市の奥山で凍死したそうです。悪天候でヘリコプターも近づけず、人が登って遺体を回収したとか。今年は雪解けや夏花が3週間、秋花(ヤナギラン)満開が1ヶ月も早く、7月はずっと8月後半を思わせる寒い日々が続いていたから、初冬が1ヶ月半早く来ても不思議ではありませんが …。キルナはその後も雨ばかりの日々が続いていて、結局この夏最後の快晴は7月8日で、次の好天(快晴にもならない)が8月25日、その次の晴れ9月16日でした。なんでもスヱーデン中部に至っては大洪水だそうです。
 ナルビクでは初めて街中の山に登りました。展望台のある650m地点までは、同行者(連中は手抜きでロープウェー)に荷物を持って貰って僕だけ走って登り、そこから同行者と頂上を目差しましたが、1000m地点から数センチの新雪に覆われ、つるつるした雪の下が瓦礫で、どう見ても下りが危なかったので、頂上(1272m)を目前に断念して後日の楽しみ残す羽目となってしまいました。全く思いもかけぬ冬山です。時節がら高山植物は咲き誇っており、雪の中にピンクの花(上記の http に入れてあります)がぽつぽつ咲いている様子は十年に一度あるかないかの美しい風情でしたが、写真を撮ろうとしたらフィルムが終わっておりました。
2001年夏 「2ヶ月早い本格積雪」 山内正敏

ps. 以下、8月3日のナルビクの写真です。
ナルビクのロープヱー(麓と650m地点のレストランを結ぶ最高の観光コース)
ロープヱー頂上駅からみたナルビクの街(旧市街/半島部分。 なお、ロープヱー頂上駅はその上のラジオ塔(1007m)への中間点に過ぎず、冬はラジオ塔までスキーリフトが運行している。
標高約1000m地点から奥山(1633m)を望む
標高約1000m地点からベウス・フィヨルドを挟んで真南の山(1558m)を望む
標高1007mのラジオ塔からナルビク正面の海(オフォト・フィヨルド)を望む
ナルビクの港のある湾
標高1007mのラジオ塔から1272mの頂上を望む
標高約1050m地点(雪の上)から1272mの頂上を望む
標高約1050m地点(雪の上)から1272mの頂上を望む