球面過剰

いやすごい、すごい理論だ。(知らなかっただけだろうか?)

S=R2 (α+β+γ-π)

htmlで数式が比較的簡単に書けるのもすごいんだけど。(知らなかっただけです)

実は今、球面幾何学をやっている。といってもこの分野自体研究しているわけではなく、応用するために勉強する必要があっただけである。人工衛星のデータを使うとき、観測器の視野を計算する必要がある。視野は基本的にはどこかの原点(通常、観測器の中にある。)から放射状に伸びる。つまり、仮想的な球として捉えるのがよい。それを扱うので、球面幾何学が必要だった。

とりあえず一番求めたかったのは、球面の3点で決まる領域(球面三角という)の面積。具体的には、地球をイメージして、京都とキルナと昭和基地を考えたとき、それらを結ぶ三角形に囲まれた部分の面積を求めるわけである。球面においては2点を結ぶ線というのは無限に存在するが、ここで言う結ぶとは最短距離で繋ぐことだ。この線は球面の2点と中心を含む平面で球を切ることで求められる。これを大円という。

さて三角形の面積といえば、小学校で暗証した

ていへんかけるたかさわるに

で求まるのだが、球面の場合はそういかないのは簡単に想像できる。

Fig-1

ということで上の図が出てくる。この点A,B,Cで決まる球面三角の面積を求めるのが目標である。二日ぐらい、積分して求められないかどうか格闘していた。しかし、球面上の「直線」ABやACを表現するのが予想以上に難しい。これを積分するのか、と思うとヤル気をなくしてしまう。

それにしても、インターネットは偉大だ。「球面三角」「面積」というキーワードで検索、閲覧すると、「球面過剰」というキーワードが怪しいことがわかり、再度「球面過剰」で検索すればその方法を記したページが出てくる。まさに検索サイトを使った伝言ゲームだ。

この理論、ほんとに単純明解だ。まずは、球面を2つの大円で切ったときにできる4つの切り口の面積を求めることからはじまる。上の図でいうと、ABを通る大円とACを通る大円で切ったときの切り口、つまり、S(ピンク)とSa(黄色)を足した部分の面積だ。

これは「明らかに」∠BAC(=αと置く)に比例するので、4πr2*α/2π、つまり、S+Sa=2αr2で求められる。

ということは、∠ABC=β、∠ACB=γを使うと、

(S+Sa)+(S+Sb)+(S+Sc)=2r2(α+β+γ)

また明らかにS+Sa+Sb+Sc=2πr2である。それはそれぞれの球面三角形と対称な球面三角形が一つずつあって、これらを全部足すと球全体(よんぱいあーるのじじょう)になるからである。

つまり、3S+Sa+Sb+Sc=2S+(S+Sa+Sb+Sc)=2S+2πr2=2r2(α+β+γ)であるから、

S=R2 (α+β+γ-π)

となる。

なかなか凄いアイデアだが、一つだけ疑問が残った。

何が過剰なんだ?

球面三角おそるべし。

(8.20追記) シニーからのツッコミ。「球面過剰」とは、「球面三角形の内角の和と平面三角形の内角の和の差」という、日本語にするとややこしい定義であるという話だ。つまり (α+β+γ-π) が球面過剰なんだそうだ。この角度が面積と関わりがあるとは、、、やはり球面三角おそるべし。